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『三匹のおっさん』
- 2014/11/13(Thu) -
有川浩 『三匹のおっさん』(文春文庫)、読了。

この作家さんの作品は3つ目ですが、
どれも受ける印象が違っていて、1人の作家さんとして上手く像を結びません。

どの作品も面白いので、満足して読み終えるのですが、
こんな不思議な感覚になる作家さんは居ませんでした。

セミリタイアした、爺さん手前のオッサン3人が主人公。
もてあました時間を使って、勝手に自警団を結成し、
町の問題を解決していく・・・・・。

この解決の範囲というか、レベル感が、非常に身の丈にあったところで手を打っており、
読んでいて安心感を覚えます。
非常に地に足の着いた生き方をしているオッサンたちだなと。

そして、その孫のユーキくんや娘のサナエちゃんは、
非常に聡明なキャラクター設定であり、応援したくなります。
このオッサン3匹と若者2人の組み合わせが、非常に心地よいです。

脇役として登場してくる祖母の芳江なども、
今時の気を遣いあって逆にギスギスする嫁姑の関係なんてなんのその、
お嬢様感覚が抜けない嫁に向かって、厳しい評価をズバンと下します。
これがまた小気味よい。

今の時代において、人間が抱える嫌な面を描いて見せながらも、
適度なレベルの解決策を提示して、バランスよくソフトランディングさせ、
じんわりと人間のよさを感じさせてくれる作品です。

続編も早々にチャレンジしたいです。


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『阪急電車』
- 2014/08/15(Fri) -
有川浩 『阪急電車』(幻冬舎文庫)、読了。

細やか!

読んでいる立場からすると、こうであって欲しい、こういう展開になって欲しいという
読者の願望にきっちりと寄り添って、細やかに表現しているので、
非常に満足感の得られる読書になります。

勧善懲悪!しかも、その悪を懲らしめる度合いが行き過ぎてなくて絶妙!!

阪急今津線の一駅ごとの乗り降りで、様々な乗客の様子が描かれますが、
ちょっとした出会いから人生に深く踏み込みあう出会いもあれば、
その場限りの刹那的な関わりもある。
そんな、電車の中ならではの人間関係が絶妙なバランスで描かれていて
非常に面白いです。

一駅ごとの連作短編集となっていますが、
前後のお話のオーバーラップのさせ方も絶妙です。
深く入りすぎることなく、「お!この人を次の主人公に据えるのか!」という驚きもあり、
どんどん次の物語を読んでいきたくなります。

大阪と兵庫の間のローカル線のお話だったので、全く土地勘がなく、
そういう点ではファンタジー的な要素も楽しめたのと、
東京を舞台にした物語は、地方の土地勘のない人たちにはこんな感じなんだ・・・・という
その他のお話への思いも馳せられる、なかなか想像力豊かな読書となりました。


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『レインツリーの国』
- 2014/05/27(Tue) -
有川浩 『レインツリーの国』(新潮文庫)、読了。

お初の作家さんです。
古本屋で時々目に付いてはいたのですが、「ラノベ系の作家さん」という印象もあり、
今まで手をつけずに来ていました。
本作はページ数も多くなく、さっと読めるかなぁということでお試しに。

ネット世界で出会った健常者と難聴者のベタベタな恋愛モノ・・・・・と
簡単に要約してしまうこともできますが、
とにかく、真剣にけんかをする2人が、なんだか新鮮で、興味深く読めました。

私自身、けんかをすることが非常に苦手です。
面倒な思いをしたくないという気持ちが強く、少しでもけんかになりそうな芽が出ると
すぐに摘み取ろうとしてしまいます。
もちろん、自分からけんかを吹っかけることもなく、また、その技術も無く。

最初の印象からすると、「ひとみ」は、私と似てけんかを極力回避しようと
努力をする女性のように思ったのですが、
その実、芯が強くて、意外と自己主張をはっきり行います。
それが性格から来る面もあれば、難聴という障害のせいの面もあるのでしょうが、
それでも、相手に本気でぶつかろうとする姿勢を凄いなぁと感じました。

対する「伸」は、関西者の調子のよさを持ちながら、
こちらも自分の芯を持っており、しかも相手に合わせて主張の仕方を変えられるという器用な人物。
田辺センセの小説からの流れで、心地よい関西弁が読めるのは、幸せな気持ちになれます。

いつもだったら、こういうベタベタな甘い恋愛モノは逃げたくなっちゃうのですが、
本作は世界に入っていくことが出来ました。

「弱み」とか「トラウマ」とか「不幸な記憶」とか、
「障害」というものだけに囚われない、普遍的なテーマを扱っていたからかなと思います。

有川作品、食わず嫌いにならなくて良かったです。


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