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『こんな日本でよかったね』
- 2014/06/14(Sat) -
内田樹 『こんな日本でよかったね』(バジリコ)、読了。

ほんとにまぁ、いろんなことを書きまくってる人である。
まえがきに、「1年に10冊出している」と自ら書いている。

「書く」という行為へのエネルギーのかけ方もさることながら、
教育から政治、メディア、国民性、哲学まで、
様々な事象を掘り下げて、何らかの意見を言える、しかも内田流の世論とは違う意見が言える
という、この間口の広さ、柔軟性、思考の基礎の堅牢さに驚きます。

で、その様々な意見に、概ね納得してしまう自分。
「そう、そう、そうですよねー」という共感から、
「なるほど!そう考えるべきだったのか」という発見まで、これまた幅広く味わえます。

本作を読みながら、なぜ内田流は、あれこれ幅広に斬ることができるのかを考えていました。
到達したのは、個々の事象やジャンルに囚われない、
本質的な思考のフレームワークを著者が獲得しており、
それを、テーマに合わせて加工して転用しているのだろうなということ。
使い回しというようなお手軽な話ではなく、
それだけ汎用性のある思考フレームを手に入れているところが凄い!という意味です。

で、その内田流に非常に好意的に反応してしまう自分というのは、
きっと同じようなフレームワークで物事を見ようとする癖があるのだと思います。
ただ、内田センセと私の大きな(そして絶望的な)差異は、
そのフレームワークを自らのものとしているか、自分の中にあるはずのフレームワーク自体が
きちんと認識できていないのかだと思い至りました。

矮小化した例で恐縮ですが、
最近、勤め先の社内でのいろんな打ち合わせで発言することの心理的ハードルが下がってきました。
別に私のポジションが上がったわけでもなく、権力を身につけたわけでもなく、
「あぁ、この手の問題はここを押さえておけば大きく外すことはないな」という判断が
一定パターンのもとで付くようになってきた(少なくとも自分はそう思っている)ということです。
ビジネスジャッジにおけるいくつかのフレームワークを自分の中に作り、
その使い方が分かってきたこと、また使って得られる効果の予測ができるようになってきたことが
自分の変化の理由かなと思っています。

今は、ビジネスジャッジのフレームワークを、実例や経験をもとに
数を増やしていったり、内容を深めていったりする途上にあるので、
結構、社内議論が楽しく感じられています。

でも、昇進も昇格もなく、異動も担当換えもないままに、この経験を積んでいくだけだと
きっとどこかで飽きるときがくると思います。
合理性や効率性を追求しているふりをした怠惰な自分が顔を出し、
「ま、この辺で回しとけば大丈夫だろう」という判断が優先されるときが来てしまうだろうなと。

この予想を内田センセの本に当てはめると、
いつの日か、内田センセのフレームワークが見えるようになってきて、
「ま、内田センセなら、この件は、こんな風にコメントするのだろうな」と
予想できる日がやってくるのでしょうかね。
そのときは、著作にも飽きちゃうのでしょうかね。

うーん、読書が楽しくなくなるのは残念だなぁ。
ま、いつまでたっても内田センセのフレームワークを見極められない可能性が高いですが(爆)。


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『日本辺境論』
- 2014/02/02(Sun) -
内田樹 『日本辺境論』(新潮新書)、読了。

「日本人とは?」という問いに対し、
「世界の中心が別の場所あると信じる辺境人である」という解を立てた一冊。

内田センセ独自の思想ではなく、
先達たちの思想をまとめたものだと最初にお断りがあります。

ということで、丸山眞男先生たちの論文の内容を
分かりやすく教え諭してくれる一冊です。

ありがたい!

学生時代、丸山センセの本は読まねばなぁ・・・・と思いつつ、
怠慢のために1冊しか読みませんでした(苦笑)。
いかんですなぁ。これから読んで行きたいです。

本作における日本人論は、
『菊と刀』などをもう一度思い起こさせてくれました。

印象に残ったのは、そんな日本人像に対して、良い/悪い、優れている/劣っている等の
価値判断を加えていないところです。

「そうやって日本人は難局を乗り切ってきた。そうやって今に続く歴史を残してきた」

他の文化と比較することで成立する「日本人文化について、
他と比較することなく、ありのまま叙述するという姿勢が興味深かったです。


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『村上春樹にご用心』
- 2013/08/08(Thu) -
内田樹 『村上春樹にご用心』(アルテスパブリッシング)、読了。

どんなに世間でハルキブームが起きようとも、
ワタクシ、苦手意識が治らないんだなぁ・・・・・。
長編小説をあまり読んだことが無いから、食わず嫌いに近いのかもしれませんが、
でも、この世界観に入っていけないんですよねぇ。

で、最近お気に入りの内田樹センセが、何やらハルキ論的なものを書いていると知り
試しに買ってみました。その楽しみ方が分かるかも・・・という淡い期待とともに。

が、結果から申し上げますと、
「やっぱり、この世界観は苦手だわぁ」という結論に至りました(苦笑)。

作品のワンシーンがいくつか抜粋されて掲載されているのですが、
その透明な空気感が、どうにも肌に合わないんですよねぇ。
で、これって、内田センセが批判してる、日本の文壇の方々の評に近いんですよね。

わたしって、やっぱり、アタマ堅いのか・・・・と思いつつも、
でも苦手なんだもーん、他に好きな作家さんがいるもーん、
自分好みの本を読みたいんだもーん、読書ってそれが楽しいんだもーん。

あ、あと、内田センセの文章は面白かったです。


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『街場のメディア論』
- 2013/06/22(Sat) -
内田樹 『街場のメディア論』(光文社新書)、読了。

続けざまに内田センセ。
大学の講義録に加筆をしたものです。

メディア論というタイトルですが、
メディアだけでなく知性のあり方のような話も含まれており、
非常に興味深い内容でした。

社会にこれだけの人間が居れば、
眉をしかめたくなるような行為をする人もいれば、
自分の都合で他人を傷つけて平気な人も出てきてしまうと思うんです。

そういう自分勝手な人は、昔もいたと思うのですが、
今の時代においては、様々なメディアやツールで、
自分勝手な人が、主人勝手な主張を、とんでもなく大きな声で行えてしまうという
非常に残念な「便利さ」があってしまいます。

個人の声が不用意に大きく伝わってしまうこと、
一方で、マスメディアという場を通過すると、
情報を発信する側は「マスコミ」という得体のしれない責任所在の曖昧な組織になり、
取材された側は「世論の声」「みんなの代弁者」のような存在に抽象化される・・・。
「個人」というのもの形が非常にアンバランスになっているように感じます。

内田先生の主張は、どの局面においても非常に現実的というか、
生活するうえで無理がない判断軸を提供しているように思います。
こういう人は、何が起きてもブレなくて、強いですよね。

非常に読み応えのある一冊でした。

ノートを作って復習したいと思います。


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『健全な肉体に狂気は宿る』
- 2013/06/20(Thu) -
内田樹、春日武彦 『健全な肉体に狂気は宿る』(角川ONEテーマ21)、読了。

内田樹という学者さんに興味はあったものの、
何となく今まで触れずじまいで来てました。

新書100円コーナーを見ていたら、対談の新書があり、
以前に対談が意外と主張が分かりやすいと感じたことがあったので、
本作から挑戦してみました。

ま、発言要旨の8割を内田センセが占めているような印象ではありますが(苦笑)、
内田センセの主張を知るには、春日センセの合いの手が良い調子で入っていて、
非常に分かりやすかったです。

そして、私、内田センセの考え方、好みだな。

仏文でフランス現代思想をやっている先生なので、
構造主義とかフーコーが好きな私には刺さってくるのだと思いますが、
世の中の割り切り方が、自分の思いに近いように感じました。

自分の中にある邪悪なものを公開したらえらいことになるから黙ってるとか
上手くいかない原因としてその人が見つけ出したものは、その人の欲望の産物だとか、
変人と自他ともに認めながらマジョリティの端っこに居るとか、
どれも、自分の行動原理に近いんです。

でも、世の中で、様々な現実にぶつかった人が頼りにできるのは春日センセの方かも。
だって、「寝たきrのじいさんと、おろおろしちゃう役に立たないばあさんと統合失調症の娘」
なーんて、ものすごいストレートな物言いをするんですもの(爆)。
書籍の対談だからって言い繕うのではなく、いつもの自分の言葉で表現する人って、
何が起きても一番頼りになる、ブレない人だと思います。

とりあえず、内田センセの著作は、今後、追っていきたいと思います。


健全な肉体に狂気は宿る―生きづらさの正体 (角川Oneテーマ21)健全な肉体に狂気は宿る―生きづらさの正体 (角川Oneテーマ21)
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