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『群青の夜の羽毛布』
- 2012/04/20(Fri) -
山本文緒 『群青の夜の羽毛布』(幻冬舎文庫)、読了。

これまで読んだ山本文緒作品で、最も怖いものでした。

対人恐怖症のような状況にある長女、
対照的に社交的過ぎる次女、
そんな姉妹を恐怖で支配する母、
こんな恐ろしい一家はないですよ(苦笑)。

子供の頃からの刷り込みによる精神的支配、
しつけという名の暴力による物理的支配、
その両方を上手く使い分けて、姉妹を支配する母ですが、
彼女の心に見え隠れするのは過去への憎悪の感情。

そこへ、長女の彼氏として登場してくる年下の大学生の存在により、
この一家の歪み具合がさらに強調され、
さらには、作品の中の世界においても歪みが登場人物たちに認識されていきます。

歪みが認識されるということは、当然、その帰結として、崩壊があるわけで・・・・・
一体どんなカタストロフィが待っているのかと、後半は胸が詰まるような息苦しさがありました。

しかしまぁ、期待した分、作者はしっかりと壊してくれたわけで(笑)。
そして、その崩壊の後、それぞれの人物に新しいものの芽をきちんと与えてくれて、
ややキレイすぎるきらいはありますが、ホッとしたました。

思っていた以上に壮絶な作品でした。


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『ファースト・プライオリティ』
- 2011/06/15(Wed) -
山本文緒 『ファースト・プライオリティ』(角川文庫)、読了。

31歳の女性を主人公に、31通りの人生を切り取る。
これは、手の込んだ短編集です。

どれも、8ページ程度の作品なのですが、
「足りない」「わからない」と思うことがありませんでした。
それほどまでに、充実した短編集です。

ぎゅっと濃縮して書いたものもあれば、
淡々とした描写の中からイメージさせる作品もあり、
31通りを書き分ける力量は、素晴らしいです。

また、31歳の女性という設定が、
自分の等身大に近く、共感を持って読める作品が多かったです。

結婚願望に焦る主人公もいれば、独りを満喫する人もいて、
また、あまりそういう将来を描かずに今を生きてる人もいて、
様々な女性が登場してくるのですが、ところどころで見せる彼女たちの判断や感情が
立場は違えど、納得できるものが多かったです。

いやぁ、すごい作家さんだ。


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『眠れるラプンツェル』
- 2011/05/13(Fri) -
山本文緒 『眠れるラプンツェル』(幻冬舎文庫)、読了。

タイトルの語感だけで買ってきた作品。
そうか、ラプンツェルは、グリム童話か・・・。

毎日、毎日、暇な日々を過ごしている主婦が主人公。
その暇な毎日に対して、不満を抱いているのではなく、
むしろ安堵感を覚えながら、積極的に怠惰に過ごす日々。

こんな始まり方だったので、
マンションの隣の部屋の中学生男子と知り合ってからの展開も
のほほんとしたものだろうと高をくくっていたら、思わぬ重い展開に。

そういえば、前に読んだ作品も、
軽やかなスタートを切りながら、どんどん深みにハマっていくような
怖い作品だったことを思い出しました。

主人公が、自分で自分をマンションに閉じ込めていたと気づく瞬間は
いろんなものが崩れていくようで、恐ろしかったです。

そんな中、「ルフィオ」と「ダニー」の命名は秀逸。
こういう硬軟のバランスのとり方、好きです。


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『プラナリア』
- 2010/06/30(Wed) -
山本文緒 『プラナリア』(文春文庫)、読了。

お初の作家さんでしたが、面白かったです。
直木賞受賞は、納得。

「何のために人は働くのか」ということを
働かないことを描くことで問いかけてくる一冊。

怠惰な生活を送る無職の女性たちは、
今の私の生活とはかけ離れた存在ですが、
かといって、無縁の存在であると言いきることはできません。

こんな怠惰な人格が、私の中にも眠っていて、
ふとした拍子にムクムクと起き上がってくるのではないかという
恐怖を感じてしまいました

そんななか、最後の「あいあるあした」は、
ちょこっと前向きになれる終わり方で、
気持よく読み終えることができました。


プラナリア (文春文庫)
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