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『三月は深き紅の淵を』
- 2013/01/20(Sun) -
恩田陸 『三月は深き紅の淵を』(講談社文庫)、読了。

『三月は深き紅の淵を』というタイトルの本を巡る4つの話。
しかし、4つの話には関連がなく、また4つの話で語られる
『三月は深き紅の淵を』は、ぞれぞれ全く違った作品になっています。
非常に不思議な仕掛けの物語。

でも、第一章で語られる第一章における『三月は深き紅の淵を』の4つの章の内容と、
この作品自体が持つ4つの章が、直接的には関連はないのですが、
なんとなく同じような雰囲気を感じ取りました。
不思議なリンク構造。

1つ1つの物語でいうと、
第1章は、舞台となる高輪の大豪邸に集う読書マニア4人のキャラは面白かったのですが、
イマイチそれを活かしきれないまま話が尻すぼみに終わってしまった印象。
でも、第2章に読み進めると、第1章がこんな内容だったことをなんとなく納得。

第1章とのつながりがどうなっているのか気になっているのに、
それに応えてくれない著者(笑)。
そのつれない感じが、続いての第3章へと誘ってくれます。
第2章は、家族の血(血脈)という問題を取り上げてますが、
気持ち悪い・・・でも、読みたい・・・・。
この章も主人公たちが魅力的で読み進められました。
ちょっと推理の部分は、視野が狭くて決めつけ過ぎな気がしましたが(苦笑)。

第3章では、異母姉妹の女子高校生という、これまた不気味な関係を描きます。
人間の持つ表と裏、怖いです。
表が美しい人ほど、裏側が怖いです。

そして、最後の第4章。
正直、この世界観は、私の苦手な恩田ワールドでした。
これを楽しめるかどうかが、大ファンになるか、一読者で終わるかの分かれ目な気がします。
私はやっぱり後者でした。
でも、読み進める手を止められないという点では、最後までエネルギーをもつ作品でした。


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『MAZE』
- 2012/12/16(Sun) -
恩田陸 『MAZE』(双葉文庫)、読了。

アジアの西方に立つという白い構造物。
そこに足を踏み入れた者は、一瞬にしてこの世から消滅してしまう。
なぜなのか・・・。

冒頭、この消滅のエピソードがいくつか語られますが、
状況を把握しにくく、相互関係も不明で、最初の40ページが苦痛でした。
どうも、この手の、思わせぶりな恩田演出が苦手です(苦笑)。

現在の時間に戻り、主人公たちが動き出してからは読みやすくなったので、
面白く読めました。

ただ、終盤の流れに関してはイマイチ。
なんだか、登場人物たちの立場を考えていけば
想像できてしまう範囲内の話に落ち着いてしまったような。
途中であれこれ出来事があった割には、
ありきたりな結末になってしまったような印象です。

そして、その後に続く思わせぶりな描写。
うーん、腑に落ちないわぁ。


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『象と耳鳴り』
- 2012/08/23(Thu) -
恩田陸 『象と耳鳴り』(詳伝社文庫)、読了。

連作推理ものです。

定年退職した判事が探偵役となり、
日常生活で出会った謎や、問いかけられた謎の解明に挑みます。
安楽椅子探偵ものが割合多かったのかな。

ただ、私には、どうにも謎解きの展開に無理があるような気がして、
物語に入っていくことが出来ませんでした。

それだけのヒントで、そんな仮説を組み立てるのは無理だろうに・・・というもの。
仮に、仮説を立てられたとしても、それが真相だという納得感が無いんですよねー。

奇しくも「机上の論理」で、主人公の娘と息子がもっともらしく解いて見せた仮説が
両方とも間違っていたということが、他の作品達にも当てはまるだろうと
思ってしまいました。

それと、もう一つ違和感を感じたのは、主人公「関根多佳雄」の人物像。
作品ごとに受ける印象が違っていて、
一人の人間としての統一感が無いように感じました。
最初に奥様と一緒に登場したので、普通のおじさんを想像したのですが、
他の人に見せる顔は違っていたりして・・・。
外の顔から段々と身内に見せる顔に変化を楽しむ構成だったら
もっと受け入れやすかったかもしれませんが、なんだか不安定さを感じてしまいました。

本作は、苦手なほうの恩田空気が漂っていました。


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『不安な童話』
- 2012/01/29(Sun) -
恩田陸 『不安な童話』(新潮文庫)、読了。

25年前にハサミで刺し殺された女流画家、
その遺作展で意識を失った主人公は、その後、次々と不思議な現象に巻き込まれ・・・。

「生まれ変わり」「失せもの探し」「記憶の読み取り」などと、
ちょっと超自然的なテーマが冒頭からごろごろ出てくるのですが、
さほど苦手意識を持つことなく、すんなり、この世界観に入り込めました。

というのも、主人公・万由子の少し突き放したようなモノの見方と、
その雇い人・博物学教授のキャラクターが魅力的だったから。
彼らにかかれば、どんな突飛な出来事でも、
ま、ありうるかも・・・と思わせる変な納得性がありました。なんでだろ?

そして、もう一人の主人公ともいうべき、殺された女流画家のキャラも
これまた相当に強烈で、悪意を絵にするという凄い作風。
愛憎紙一重という世界観も、面白かったです。

現在の世界での数々の事件の真相や25年前の殺人事件の真相については、
少し子供っぽいような印象も受けましたが、
ま、私の関心からすると、あまり気になる部分ではありませんでした。

今回の主人公のキャラクターで、続編とか作って欲しいなと感じる作品でした。


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『夏の名残りの薔薇』
- 2011/09/15(Thu) -
恩田陸 『夏の名残りの薔薇』(文春文庫)、読了。

ミステリーと思って読んでいたら、
むしろ、人間の精神世界を描いたような作品で、ちょっとニーズ違いでした。

人間の記憶が如何に都合よく作られていくのか、
その不確かさをテーマにしている着眼点は面白いと思ったのですが、
その見せ方が何とも、まどろっこしいんです。

ところどころで挿入される不思議な情景。
読み進めていくと、それは、とある映画のシーンを描写していることがわかるのですが、
何を暗示しているのかを考えるのが面倒くさくなって、途中から読み飛ばしました(苦笑)。

また、現実世界の描写のところも、
思わせぶりな表現が多くて、ちょっと食傷気味。
そういう世界観に浸りたいひとには適しているのかもしれませんが、
仕事が忙しい時期に読むには、ちょっと厳しかったです。

もともと、思わせぶりな演出が続く小説は得意ではないのですが、
恩田作品では、ちょっと文章構成への苦手意識もあり、
一層、読み解くのが難しく感じました。

三姉妹が物語を語り聞かせるシーンは、さすがの描写力だと覆いました。
『六番目の小夜子』で感じた追い詰められる心理的圧迫感が
ここでも効果的に活きていました。

また、登場人物では、桜子の思考回路が面白かったです。
ただ、彼女に太刀打ちできるだけの哲学を持った人物がいなかったので、
「対決」という意味での楽しみは少なかったです。



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『夜のピクニック』
- 2011/03/02(Wed) -
恩田陸 『夜のピクニック』(新潮文庫)、読了。

やっぱり恩田作品の学園モノは面白い!
一気に読み通してしまいました。

24時間かけて歩き続けるという高校生活でのイベント。
その行程で主人公の西脇融と甲田貴子が考え、行動し、成長していく様を描いています。

本作の解説でも、他の本読みさんのBlogでも
「大きな出来事は起こらないが・・・」というコメントを見かけましたが、
私は、この2人が経験したことは、2人にとってとてつもなく意味のある
大きな出来事だったと思います。
それを、本作を読むことで、一緒に経験できたような気持ちになりました。

彼らを取り巻く友人たちのキャラクターも気持ち良く、
「親友」というものの有難みや、「友人」たちが「親友」たちに
適切な距離感をとって接するところなんかも、素敵だなぁと思いました。

工夫のない表現ですが、「青春」というものを強く感じさせてくれる一冊です。

本作の舞台になったような進学校では、
ややもすると高校生活の3年間は、受験勉強だけの灰色の期間になりかねないのに、
このような学校全体で一体感を感じられて、しかも友人たちと思い思いのスタイルで
時間を共にできるイベントを主催できる学校というのは、素晴らしいなと思いました。

私が通った高校では、ここまでの大きなイベントはありませんでしたが、
勉強、勉強と周りから言われる中で、毎年3日間かけて行われる
姉妹校とのスポーツ大会は強く印象に残ってます。
学校全体が一致団結して勝とうと思う気持ちと、友人たちと純粋にスポーツを
楽しもうという気持ちとが混ざって、充実した3日間でした。

青春っていいなぁ。


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『球形の季節』
- 2010/03/21(Sun) -
恩田陸 『球形の季節』(新潮文庫)、読了。

だんだんと恩田作品の楽しみ方がわかってきました。
とりあえず、自分には「学園モノ」が合うんだと認識。

本作は、地方都市の進学校を舞台に、
奇妙な噂話の真相を探る高校生たちの物語。

後半、ホラー色が強くなっていくというか、
現実世界を超えたお話になっていくのですが、
普段は警戒してしまうそういう設定も、
この物語では自然と受け入れることができました。

「東北の地方都市」「歴史のある進学校」「頭の良い生徒たち」
こういう舞台設定に、なんだか不思議な説得力を感じてしまいました。

そう、私は、きっと、恩田陸さんが描く
頭の良い高校生たちが好きなんだと思います。

そして、「噂」というものが持つ、不思議な力。
人間が作り出している事象なのに、
それ以外の作用が加わっているかのような影響力を持ってしまう「噂」の力。

そいういう不思議な力を最も増幅させてしまう力を持ってしまうのが、
中学生や高校生のような気がします。
恩田作品は、そこを描くのが、うまいんです。

今後は、学園モノの作品を中心に攻めていきたいと思います。


球形の季節 (新潮文庫)
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starsやっぱり僕は「跳べない」
stars初々しいころの秀逸な作品
starsぞわぞわきた☆面白い!
stars日本の現況を炙り出すような設定
starsある都市の物語。

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『六番目の小夜子』
- 2009/12/11(Fri) -
恩田陸 『六番目の小夜子』(新潮文庫)、読了。

これは面白かったです。

「サヨコ伝説」の設定が秀逸。
そして、地方の進学校という舞台設定も、
インテリの排他性による伝説継承という物語の下地をリアルにしていて
納得性が高かったです。

かなりホラーな感じで中盤は進んでいくのですが、
意外な爽やかさでエンディングとなったので、びっくり。

でも、伝説って、みんなが信じるからこそ出来上がる世界観というか、
集団心理の賜物のようなところがありますよね。

作中劇での集団心理の描写は凄く怖かったです。

でも、こういうのが、青春時代の一番の思い出になるんでしょうね。

あと、恩田さんの文章は自分に合わなくて、いつも読みづらさを感じてしまうのですが、
本作では物語が動き始めたら、気にせず読めるようになりました。
「春の章」の勿体ぶりな感じの文章は、相変わらず苦手だったのですが・・・。


六番目の小夜子 (新潮文庫)
六番目の小夜子 (新潮文庫)
おすすめ平均
starsたくさんの引き出し
stars雰囲気は良し
stars最後になって現実世界に強引に引き戻された
stars夢見心地になれる一作
stars描写力はさすが。物語としては?

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『図書室の海』
- 2008/12/17(Wed) -
恩田睦 『図書室の海』(新潮文庫)、読了。

恩田作品、合わないのかしら・・・・・と不安になってきました。

冒頭の「春よ、こい」は、物語の時間軸・空間軸が複雑すぎて
途中で理解することを投げ出してしまいました。

ここまで複雑な作品でなくても、
すんなり言葉が頭に入ってこなかったり、
無意識のうちに読み飛ばしたりしていて、
この方の書く文章が自分に合わないんじゃないかと思うようになりました。

人気作家さんなので、読めないという状態にはなりたくないのですが。

それでも「図書室の海」を読んで、
『六番目の小夜子』には非常に興味を持ちました。
次の恩田作品は、これにしよう!


図書室の海 (新潮文庫)
図書室の海 (新潮文庫)恩田 陸

おすすめ平均
stars"本編"あってこその1冊?
stars「余韻」を楽しめない私が悪いのか?
starsスパイスが効いている
stars短編集がぎゅっと凝縮
stars濃厚な短編

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六番目の小夜子 (新潮文庫)
六番目の小夜子 (新潮文庫)恩田 陸

おすすめ平均
stars豪腕
stars一部だけは〇でも恩田陸はどうも好きになれない。
stars伝説のモダンホラー
stars読んだあと、サヨコ伝説をじっくりと、考えてみたい…
stars学生生活についてのとらえ方が良い。

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『ライオンハート』
- 2008/07/20(Sun) -
恩田陸 『ライオンハート』(新潮文庫)、読了。

お初の恩田作品。

物語のカラクリがどうなっているのか少しずつ解き明かされていきますが、
まさかそんな源流に辿り着くとは・・・という壮大なお話です。

それとも、歴史好きの方は、タイトルから予想できるのでしょうか?
獅子心王の子孫ですものね。

エドワードがエリザベスに物語のからくりを伝えるシーンがヤマ場になっており、
エリザベスの苦悩と悟りに描写を費やしていますが、
その中で、エドワードが物語のからくりに気付く過程が案外アッサリと語られてます。

エドワードが真相に辿り着くまでを主題に据えたら
ミステリーとして面白いかもしれませんね。
本作は、私にはちょっと甘すぎました。


ライオンハート (新潮文庫)
ライオンハート (新潮文庫)恩田 陸

おすすめ平均
stars三島由紀夫と恩田陸
stars恩田ファンとしてはぜひ抑えておきたい一作
stars結末
starsリチャード一世の話ではない
stars結末に心温まる

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