『死んでも忘れない』
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- 2008/05/25(Sun) -
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乃南アサ 『死んでも忘れない』(新潮文庫)、読了。
裏表紙の「あらすじ」によると、家族崩壊の話とのこと。 乃南アサのことだから、きっと徹底的に壊すんだろうな・・・・・ なんて、怖いもの見たさで読み始めました。 事件に巻き込まれながらも一人で対処しようとする夫。 事件の余波を受けながらも、それぞれの心の内に仕舞おうとする妻と息子。 和室で3人がそれまでの鬱積したものをぶつけ合うシーンは さすが乃南アサ!という重く苦しいシーンでした。 夫・後妻・前妻の息子が、それぞれの立場をわきまえて演じてきたために これまでバランスが保たれていた城戸家。 そのバランスの脆さに、当人たちは全く気付かず、無意識に維持してきていたもの。 それがこの和室のシーンで無残にも崩れ去る。 特に、息子が後妻に向ける言葉の鋭さに、ハッとさせられます。 そして、これは、再生された家族特有の問題なのではなく、 どの家族にも「自分の役割を演じる」という側面が多かれ少なかれあり、 ふとした切っ掛けで家庭のバランスは簡単に崩れてしまうという現実を、 この作品は読者に突きつけてきます。 最後、どこまで崩壊していくのかドキドキしながら読んだのですが、 意外にも救いのある終わり方に、 「あら、今回はアサさん、優しいのね」なんて、ちょっと拍子抜け。
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