fc2ブログ
『火の粉』
- 2008/03/30(Sun) -
雫井脩介 『火の粉』(幻冬舎文庫)、読了。

こちらもお初の作家さん。
分厚い作品だったので、しばらく積読だったのですが、
だらだらと週末を過ごそうと決心し(苦笑)、手に取りました。
で、結果、一気読みです。

武内、怖いよー。
尋恵があまりにもやすやすと武内の手のうちに取り込まれていく様を見て、
「おばちゃん、もっと気をつけなきゃ!」と叫びたくなりますが、
義母の介護疲れによる心の隙に付け込む手口は、武内の方が二枚も三枚も上手。

一方で、雪見は、現代っ子の主婦の感覚なのか、幼子の母親の感覚なのか、
武内の不審さを直感的に感じ取ります。
なのに、旦那の俊郎が頼りなさ過ぎ。
(まあ、元々、30過ぎまでフリーターという設定の時点でお坊ちゃんなんですが)
そして、法廷を何十年と守り続けてきた元裁判官の勲も
退官した途端に家庭での存在感うっすー。
とにかく梶間家、男性陣が戦力になりません。

で、雪見が真相究明に乗り出さざるを得ないのですが、
一気に正義の使者になってしまうのではなく、
雪見の逡巡がしっかりと描写されていて、
そこで物語の現実味が削がれなかったところが良かったです。

武内を追い詰めようとする被害者遺族の池本夫妻もこれまた不審で、
物語が佳境に入ってから、武内以外の犯人説が飛び出てくるところも、
飽きさせない展開でした。

姑の曜子、義姉の満喜子などのキャラクター設定も秀逸。
物語に必要な人物像が形成されていて、リアリティがありました。

真犯人の異常な動機も、500ページ超を使って描かれた物語を読めば、
十分に納得できてしまうものでした。

面白コワかった!

火の粉 (幻冬舎文庫)
火の粉 (幻冬舎文庫)雫井 脩介

おすすめ平均
starsハマる
starsママの気持ちだ!
stars類まれなる筆力で読ませる、サスペンス小説の傑作!
starsおもしろい。
starsあなたの隣人は大丈夫?

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ
関連記事
この記事のURL |  雫井脩介 | CM(0) | TB(3) | ▲ top
<<爆笑ヒッパレ&HEY!3 | メイン | 『月の扉』>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/864-38b4440c
-火の粉-
火の粉 雫井 脩介 『火の粉』雫井脩介(幻冬舎) 帰省時に持っていった最後の本。もう、読める気の全くしない文庫積読の山から持って行った。 文庫になってちょっとしてから(1年ちょい前?)には本屋の文庫コーナーで山積みになってましたね。あれは、『犯人に告... …
2010/10/21 18:29  ぼちぼち ▲ top

-火の粉-
これ、昔読んだのですが。 うちの子どもにも読ませてみたのですが、&amp;larr;娘 18歳ね。 ここから、本読みに走っていますって。 けっこうこわ~いって。 言ってました。 人が怖くなる本です。 ホントに... …
2010/11/04 16:54  陰陽師はいたのか ▲ top

-火の粉-
薄気味悪いほどの善意 * * * * * * * * * * 「私は殺人鬼を解き放ってしまったのか?」 元裁判官・梶間勲の隣家に、 二年前に無罪判決を下した男・竹内真伍が …
2013/09/03 20:19  映画と本の『たんぽぽ館』 ▲ top

| メイン |