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『対中戦略』
- 2024/02/22(Thu) -
近藤大介 『対中戦略』(講談社)、読了。

テレビやネットで中国問題を扱う時によく登場する著者。
報道番組というよりは、報道バラエティの方でウケているように思います。

理由は、著者が、テレビ的なプロレスにきちんと乗ってあげるから。
生真面目に中国情報を解説するのではなく、他の出演者(主に芸人的ポジションの人)から
「この人は中国のスパイだから」と言われて、笑いでオトしてコーナー終了みたいな展開が多いです。
だから論者としては軽く見られているところが多いように感じますが、中国側の要人にきちんと取材を
できだけの人的ネットワークをもっているのは確かだし、またフットワークの軽さもあると思います。

たまたまブックオフで見つけたので、著作では、どんなノリで文章を書いてるのかな?
テレビのノリだったらちょっとキツイな・・・・でも週刊誌次長だからそんなノリかも・・・・・と
若干不安を覚えながらの読書でしたが、杞憂でした。

とても冷静な文章で、分かりやすく整理された情報で、しかも著者自身の中国生活体験に
裏打ちされた中国人の思考回路の解説や、デモの現地で感じた中国人の感情の解説もあり、
とても勉強になりました。

本作は、習近平国家主席が誕生した直後に発行された本のため、
話の主眼に、「どうやって習近平が権力を手に入れたか」「習近平政権と前政権との違い」というような
解説にページを割いていますが、共産党内の派閥や、江沢民氏、胡錦涛氏との関係性など
詳しく書かれており勉強になりました。

しかし、さすがにチャイナウオッチャーの近藤氏であっても、2期10年を前提に考えており、
まさか2024年の今日、3期目に突入しているとは思ってもいなかったでしょうね。
昨年暮れに、共産党の大会で胡錦涛氏が無理やり退席させられた事件が
すわ失脚か!?と騒がれましたが、このあたり、近藤氏のYoutubeチャンネルも見ましたが、
改めて落ち着いて著作で解説されたものを読んでみたいですね。

中国の国家戦略に関しては、中華思想の実現とか、中華の復権とか言われますが、
表向きの掛け声はそうだったとしても、所詮は権力者個々人の権力闘争の道具にすぎないのかなと
本作を通じて思うようになりました。

もちろん、取ってつけたような形だけの国家戦略では、話の内容がどこかで破綻してたり、
中国人民13億人を酔わせるようなものにはならないでしょうから、練りに練ったものだと思いますが、
その戦略が実現するかどうか、今の戦略が変わるか否かは、権力闘争次第なところが
夢がないというか、極めて現実的というか。

結局、この民主主義が溢れた世の中で、開放路線を取って諸外国と密接な貿易関係を築きながら、
国内での不満の噴出が、天安門事件のような危機的な状況はあったとはいえ、
今のところ抑え込めていられるのは、経済が成長してきたからですよね。

共産党の独裁体制が続き、コロナ禍の完全封鎖政策のようなものが強引に行われ、
経済的に力をつけた民間人起業家が出てくると突然捕まえたり消息不明にさせたりしてしまう
そんな恐ろしい国家体制がまがりなりにも維持できているのは、圧政や経済格差で多くの不幸な人を
産んだとしても、それ以上に多くの生活が豊かになった層がいるために、かき消されるんだろうなと。

あと、基本的な中国人の性格として、商売熱心なところがあるから、儲けのチャンスがあれば
今の不幸に不満を漏らすよりも、明日の儲けに飛びつき全力で努力することに集中するんだろうなと
思ってしまいます。日本人の愚直な勤勉さとは違う、商売人的な努力志向だと思います。
理念とか道徳とかよりも、とにかく稼ぐにはどうしたらよいか?を考え、工場労働ではルールを守った
方がよりよい工員として仕事が回ってくるから稼げるというような損得勘定があるように思います。
だから、得じゃなければルールは守らない。

こういう観念の上に成り立った国では、経済が傾いたら、一気に国家崩壊してしまうリスクを抱えている
ように思います。明日の儲けが不透明になり、明日の損失が明確になったら、
一気に不満が噴出して、共産党一党独裁体制に反発が起きるように思います。

そして、習近平政権が3期目に入ったのは、習主席個人の権力欲が理由でしょうけれど、
習主席の立場を脅かす次世代のリーダーが出てきていないところに問題があるのでは?と
思わずにはいられません。さすがに米国と肩を並べる中国を作り上げた国家主席としての
実績があったとしても、「後継者はこの人だろう」という世論の読みがある程度できていたら、
さすがに2期10年というルールは簡単には反故にできないと思うんですよね。

中国の不動産不況は少し前から盛んに言われていますが、果たして、Xデーはいつになるんですかね?
Xデー前に、習主席はうまく勝ち逃げするような気もしますけど・・・・。




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