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『ザ・万歩計』
- 2024/02/13(Tue) -
万城目学 『ザ・万歩計』(文春文庫)、読了。

著者の最初のエッセイ集とのこと。

いきなり、まえがきに、著者がなぜ小説家になったのかということについて
大学生時代の小説を書き始めたきっかけ、さらに遡って物語を創る面白さを知った高校生時代の
出来事がサクッと書かれており、「おー、こんな大事なことをこんなあっさり公表してしまうのか!」と
変に読者のこちらが驚いてしまいました。

あとがきに、この高校時代の出来事のきっかけとなった現代文の先生との再会が、これまたサラッと
書かれていますが、それを受けて、著者が、「教師はいろいろなものを生徒にぶつける。それを拾うか、
かわすか、打ち返すかは生徒次第だ」と書いており、本当にその通りだなと思います。

自分自身、小学校、中学校、高校での長い生活の中で、なぜかクッキリと記憶に残っている場面があり、
「授業中の先生の一言」「放課後の先生との会話」「私の質問に対して先生が何気なく返した一言」など
印象に残っているだけでなく、何となくそこから考え方の影響を受けているような気もします。
何気ない一言なので、「気がする」以上のことは言えないのですが。

どうせ同じ授業を受けて、同じ宿題をやるんであれば、少しでも多く先生から得られるものを増やした方が
得だよなー、と、今更ながわ思います。
当時は、そんなコスパ的考え方は持っていなかったように思いますが、無意味に反抗したり反発したり
するのではなく、先生という大人と話をするのが単純に楽しかったので、前向きに受け止められて
いたのかなと思います。

他にも、著者が中学生時代に体験したという「技術」の時間。
学校の農場で大根を育てたりするような農作業を行う授業とのこと。
これ、私は小学校でやっていて、名前は「作業」の時間でした。
著者の体験では、各自で自分の農地が割り当てられ、そこで育てた作物の出来で成績がついたとの
ことですが、私の場合は、クラス単位でみんなで協力して農作業をして、作った野菜は給食の形で
調理されてみんなで美味しく食べました。

この作業の時間、すごく好きだったんですよねー。体を動かすことも好きだったし、野菜が「成長する」
過程を観察しているのも面白かったし、草抜きとか肥料やりとか「成長させるための工夫」も
やればやるだけ成果が出たので、「科学の知識ってすごい!」みたいな体感がありました。

著者の先生との距離感とか、著者含め生徒たちの授業への前向きな参画の仕方とか、
農作業のような特徴ある授業メニューとか、なんとなく同じような教育体験を積んできたのかなと
思っちゃいました。私の偏見かもしれませんが、国立大学進学者にありがちな教育体験というか。
とりあえず、著者への親近感が湧きました。

一方で、著者の旅行体験の凄まじさにはびっくり。自分にはできないわ・・・・と。
大学生の時に、バックパッカーでヨーロッパを回り、しかも海水浴中に着替えも含めて全財産を
盗まれたり、モンゴルの遊牧民の調査研究をする学者にくっついてタイガで生活したり、
タイの島で怪我をして現地の人々に介助されたり、結構、無謀な旅をやってます。
たぶん、小説家としては大きな財産になった体験なんだろうなと思います。
実際に、モンゴルで見た景色が『鹿男あをによし』に繋がってるぽいですし。

他のエッセイで、著者がサッカーを見にいきなり北朝鮮に行っちゃったりするのは、
こういう土台の体験があるから、一般人とは感覚が違うんだなと理解できました。

最後、文庫版あとがきで、「壊れかけのRadio局」の後日談が書かれており、
仕事中にBGMで流しているコミュニティFMの女性DJが、あまりにも嚙みまくるのでストレスだと
本文で書いてあるのですが、後日、そのFM局についに苦情のメールをいれたとのこと(爆)。
どんだけ酷いんだ?という感じですが、コミュニティFMの7時台の番組なんて
ほとんど聞いてる人がいないのかもね。
翌日ちゃんとFM局から返信があり、慇懃な文章でほぼノー回答な改善策・・・・どこまでも面白いです。




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