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『原発・正力・CIA』
- 2023/12/05(Tue) -
有馬哲夫 『原発・正力・CIA』(新潮新書)、読了。

大学の卒論で原発問題を扱ったので、日本の原発産業の歴史は一通り調べたのですが、
その発端である原子力行政のトップが正力松太郎氏だと知り、
なんで読売新聞の社主が???と不思議に思ってました。
まぁ、ナベツネさんのような政治とズブズブの記者が生まれる新聞社なので、
ナベツネさんの師匠ともいえる正力氏が自民党の真ん中に食い込んでても不思議じゃないか・・・・。

卒業後も、いくつか原発関連の本を読んで、正力氏に関する記述も目にしてきましたが、
まさに正力氏と原発の関係性そのものに目を向けた本作をブックオフで見つけて、
買ってきました。しかも、CIAとか書いてあるし(苦笑)。

学者である著者が、米国で開示された公文書を徹底的に調べ上げ、
米国がCIAルートで正力氏を活用して日本に原発を構築していく様子が詳細に述べられています。

結局は、正力氏の総理大臣になりたいという個人的野望と、
読売新聞や日本テレビといったメディア網を持っている正力氏のメディア影響力を利用したい米国という
非常に実利的というか、功利的というか、打算的というか。
誰も日本そのものの国益を考えていないままに、原子力行政が進んでいったようで
残念な気持ちになりました。

正力松太郎という人物は、読売新聞を日本一の発行部数の全国紙に育て上げ、
民放テレビ第一号の日本テレビを作り上げるなど、日本のメディア王のイメージで、
さぞ有能な経営者で、時代を先読みする能力を持っていたんだろうと想像していましたが、
この晩年の政治への執着を知ってしまうと、老いるって怖いなぁ・・・・と。
米国側の動きが読めていなかったり、意図を理解していなかったり、
往年の先読み力が鈍ってしまっていたのではないかとも思えます。

私個人の意見としては、日本の高度成長や以降の安定成長には
原子力発電は一定の貢献をしてきたと思っているので、
戦後10年経ったところで原発建設に舵を切ったのは、
米国の強力なプッシュがあったとは言え、原爆へのアレルギーもあったであろう日本国内の世論を
よくぞ歓迎ムードにまで引き上げていったなぁと、そこは正力氏のメディアマンとしての
優秀さを感じざるを得ません。

いずれにしても、米国の政治文書をベースにした緻密な解析は興味深かったのですが、
残念ながら学者さんの文章なので、その点での盛り上がりがイマイチでした。
誰か、ジャーナリスト系の作家さんか、企業小説系の作家さんが、正力氏と原発行政というテーマで
手に汗握る作品を書いてくれないかなぁ。




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