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『高杉晋作』
- 2023/09/12(Tue) -
村上元三 『高杉晋作』(桃源社)、読了。

近所のおっちゃんにもらった本。
タイトルから、明治維新における高杉晋作の功績を追った本かと思いましたが、
幕府の目付け役が尊王攘夷の機運を高めるために全国を駆け回る高杉晋作を
追いかけ回すという、チャンバラ劇要素の強い作品で、
歴史物としてはちょっと物足りない感じでした。

時間軸も、上海渡航前後の数年で、確かに高杉晋作が世界を知り日本の未来に対して
見識を高めていくには重要な時代だったとは思いますが、
でも、そこだけで終わりか―、と、最後まで読んで思ってしまいました。

幕府の目付けや、謎の女スパイのシーンも多く、
その視点で高杉晋作の日常が語られるおかげで、女好きだったり、酒癖が悪かったり、
金遣いが荒かったり、上司や先輩を屁とも思っていないような傍若無人さだったり、
そういう、よく言えば人間的な一面が強調されているところがありますが、
私自身は、あんまり私生活がだらしない人は信用しきれないと思っているところがあるので、
それほど共感できない作品でした。

明治維新に関しては、高杉晋作に代表されるような、20代30代の血気盛んな若者が
日本の開国に合わせて活躍して、一気に近代的な国づくりが進んだ・・・・という風にまとめると
すごく神がかった時代だったように思えますが、
冷静に考えてみると、成功と失敗は紙一重だったんじゃないかなとも思えます。
田舎の視野が狭い若者が暴走して日本が滅びる・・・・なんて展開の可能性も
そこそこあったのではないかと思えてしまいます。

むしろ、高杉晋作もそうですが、勝海舟とか伊藤博文とか渋沢栄一とか
幕末の混乱期に海外渡航をして見識を広げたことが、日本の道を誤らせず
過剰な尊王攘夷ではなく開国という適切な方向に向かえたように思います。
そうすると、本当に先が読めていたのは、部下の若造を海外にやろうと考えた
各藩主や幕府首脳だったのではないかと思います。

長い江戸時代において、幕府が弱体化したり、地方の各藩の能力が低下したりという
悪い部分は当然あったと思いますが、そんな中でも、先が見えている人物がきちんといたことが
日本の支配制度だったり教育制度だったりが相応に機能していたのかなと感じます。

というわけで、立派な藩主が居たから、高杉晋作が多少ルーズな私生活を送っていても
大丈夫だったんだろうなー、と、変な感想で終わりました(苦笑)。




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