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『塗仏の宴 宴の支度』
- 2023/07/14(Fri) -
京極夏彦 『塗仏の宴 宴の支度』(講談社文庫)、読了。

私が京極作品を読んでいるのを見た友人から、
「『塗仏の宴』が一番面白いよ」と教えてもらったので、ブックオフで買ってきました。

「宴の支度」と「宴の始末」の上下巻のような形ですが、
片方で1000ページ近い大作なので、かなり覚悟がいる本です・・・・・。
3日間出張の予定が入ったので、移動時間を全部読書に充てるつもりで読み始めました。

冒頭の章「ぬっぺらぼう」は、百鬼夜行シリーズレギュラーの小説家の関口巽が主人公。
取材を頼まれ、伊豆韮山の山中にかつてあったとされた戸人村について現地に調べに行くことに。
地図には載っておらず、周辺地域の住民も誰も記憶にない村なのに、
戦時中の新聞記事に、その村で起きた皆殺しかのような大量殺人の噂が掲載されており・・・・。

関口と、以前戸人村に駐在していた記憶がぼんやりとある元警察官の男、
そして現在の韮山の駐在所の警察官と、郷土史家の男のそれぞれの会話で物語は進んでいきますが、
何かが起きた場面の描写ではなく、会話の言葉だけで空想していくので、
勝手に不気味な感じを思い描いてしまい、恐ろしいです。

佐伯家という謎の庄屋のような存在と、その庄屋の大きな屋敷は今やうっそうと茂った木々の中に
廃屋として存在し、村の他の家々は、空き家になったものもあれば
人が住んでいる家もあるものの、戸人村についての記憶を持っている者はなく、
何十年も前からここは韮山だと証言します。

この「戸人村の消失」に関する謎解きは、この「ぬっぺらぼう」の章内で行われますが、
佐伯家は?ぬっぺらぼうの謎は?という部分は触れられないまま次の章へ。

次の「うわん」は、舞台が静岡の町中に代わり、「成仙道」というカルト集団が
家々を回って信者獲得に動いている様子と、どこから来たのかわからない男の自殺未遂騒動が
描かれていきます。
あれ?佐伯家は?戸人村は?と思いましたが、この章はこの章で別の物語となっています。

さらに次の「ひょうすべ」では、再び関口と京極堂が登場してきますが、
少し時間が経過しているのか戸人村の話とはまた別の、華仙姑処女という占い師の話でした。

全部で6つの章があるのですが、登場人物たちが代わる代わる登場してきたり、
百鬼夜行シリーズのレギュラーメンバーたちがいろいろ登場してきたりするのですが、
連作短編集というほど繋がりが明確に描かれているわけではなく、
でも、「カルト」「後催眠」というようなキーワードで根底の部分は繋がっているようで、
不思議な一冊となっています。

最後、初出一覧が載っていましたが、なんと、章の1番目、3番目、5番目が
それぞれ別の時期に発表された短編で、間に挟まる2番目、4番目、6番目の章は
本作のための書下ろしとのこと。
最初から、この一冊にまとめる構想があったのかどうか分かりませんが、
こんな複雑なつくりかたをして「宴の支度」として一冊にするとは、なんと凄い力業かと驚きました。

結局、6章全部を読んでも、結末らしい結末は得られず、
どちらかというと6つの謎を提示された状態です。
後半、「宴の始末」で、どんな風な結論になるのか楽しみで、早速手を付けたいと思います。




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