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『セイバーメトリクスの落とし穴』
- 2023/06/13(Tue) -
お股ニキ(@omatacom) 『セイバーメトリクスの落とし穴』(光文社新書)、通読。

WBCの盛り上がりの後、NPBの試合ではレベルが下がったように感じてファン離れが起きるのでは?と
秘かに心配してましたが、杞憂でしたね。
セリーグしか見てないのでですが、バウアー投手含めDeNAは話題で賑やかですね。
ヤクルトがWBCの影響なのかあんなにガタガタになるとは思いませんでしたが、
一時期独走してた阪神も交流戦で無事に落ちてきて、混戦の方がリーグ戦は面白いです。

というわけで、積読の中から野球の分析に関する本をば。
正直、著者の名前は見聞きしたことがありましたが、そのTweetを追いかけているわけでもなく、
ほぼほぼ初見のような状態での読書でした。

タイトルから、データを比較分析したガチガチの数字オタクみたいな本かなと思いきや、
冒頭、「野球は極めて独特なスポーツ。サッカー、バスケ等はボールがゴールを割るという
ボールの位置こそが重要だが、野球はボールがどこに飛んで行ったかは得点と直接は関係ない」
というような趣旨の文章が出てきて、「確かにそうだ!そんなこと考えたことなかった!」と目からうろこ。

「野球は国際スポーツではなく一部の先進国でしか受け入れられてない」というような批判を聞くと
まぁ、道具に金がかかるし、細かいルールがいろいろあって複雑だから相応の忍耐力と知能のある
子供じゃないと難しいなとは思っていたのですが、「ボールがゴールを割ったら1点」という単純ではない
得点の仕組み自体が特殊なんだと初めて気が付きました。

この一文を見て、「著者は単なるデータマニアじゃないぞ、文化の側面も考慮して野球を捉えてるぞ」と
一気に見る目が変わりました。

もちろん、本文は、データを駆使した投手論や打撃論、采配論で、
セイバーメトリクスの歪な面を指摘しつつも、しかし著者の主張もデータ重視な内容なので、
なかなか本気で野球を見ている人じゃないと歯が立たない硬派な内容でした。

私はどちらかというと、個々の選手の圧倒的な技術を見ることよりも、
チームプレーで得点をしたり、失点を防いだりする戦略論的なところが好きなので、
技術を数値化するデータよりも、いかに得点をあげるためにチームの個々の選手が
どう動くべきかという方のデータの解釈が好みで、そういう意味では『マネーボール』的嗜好なのかな。

細かい選手一人ひとりのデータの解釈までは良く分かりませんでしたが、
とりあえず、MLBは、速い球を投げ込む投手とフライを打ち上げる打者の戦いに収斂しつつあり
私の好みからは外れていってしまっているんだろうなという理解と、
日本のパリーグはMLB的で、セリーグの野球の方が私好みという結論に落ち着きました。

子供の頃は、DHのないセリーグの野球は、投手のところで打線が切れるのが嫌でしたが、
最近は、阪神の岡田監督とかの戦術コメントを聞くのが毎日の楽しみです(爆)。
9番投手の打席で起きる攻撃側と守備側の間の駆け引きや、
投手交代のタイミング、代打起用の選び方とか。
交流戦ではイマイチはまってない感じですが、またリーグ戦に戻ったら楽しめそうかな。

お股ニキ氏は、ダルビッシュ投手と技術論をやり取りするなど、
もはや素人の域ではなく、スタッフ側に入っている人かと思いますが、
それを「凄い!」と思える人と、「素人のくせに生意気な!」と思う人で賛否が分かれちゃうのかな。
でも、賛否両方を巻き起こせる人が、本当に有能な人だと思います。

私は、そこまで技術論のやり取りには興味持てないので、最近だと赤味噌(@Akamiso97)さんとかが好きです。
この人の凄いところは、もの凄いデータ量と、それを自分なりに整理して解釈できている能力があり、
きっと語り出したら、ジャンルは違うもののお股ニキ氏ぐらいの深い言葉を持っていると思うのですが、
Tweetでは、そこまで本格的な議論に偏らず、あくまで一般の野球ツイ民向けに
分かりやすいというか、素人でもノリやすいTweetを心掛けているところにあるかなと思ってます。
だから私みたいな野球素人でも楽しめます。
秘かに、中日とヤクルトの最下位争いも注目しております。




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