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『反マジメの精神』
- 2023/06/04(Sun) -
山本明 『反マジメの精神』(毎日新聞社)、読了。

ずーっと積読になっていた本。

近所のおっちゃんにもらったんだっけ???という曖昧な記憶で手に取ったら
裏表紙ひらいたところに父の署名が。
どうやら学生時代に購入したようです。

サブタイトルに「大衆文化のドキュメント」とあるように、
出版時の昭和40年代半ばの大衆文化をテーマに、
日本人論を繰り広げている感じの本です。

ただ、残念ながら、自分の生まれる前の大衆文化については
そもそも書かれている歌謡曲やテレビ番組、映画作品など、知らないものが多く、
これは同時代の人しか読めない本かなと諦めました。

もちろん大ヒットした『愛しちゃったのよ』みたいな歌謡曲は知ってますが、
私が知っているということは、今のテレビやCM等で使われている曲だということであり
もはや大衆文化というレベルではなく、時代に記憶された名曲のレベルかと思います。
その分、当時の社会の色は、だんだん薄まっちゃってるのかなと。

そういう意味では、私が知らない曲や番組で、かつ父が本作を読み返したら
「お、懐かしいなぁ~」となるようなものこそが、時代を素直に映し出しているのかなと思います。

そして、本作中で紙芝居について考察しているパートがあるのですが
「これはもう過去のものとなったから、われわれは比較的正しい把握が容易である」と述べており
やっぱり同時代のものを的確に批評するのって難しいんだろうなと思いました。

本作では、収束したばっかりの学生運動をちょっと皮肉るようなくだりもあり、
そこには著者のスタンスが反映されていると思うので、同時代のものを見る目にも
影響しているのかなと思います。

一方で、学生運動に参加していた(父談)という父は、この皮肉をどういう気持ちで読んだのかなと。
本文にはところどころ線が引いてあり、しかも40年以上経過しても実家に置いてあったということは
それなりに肯定的に本作を捉えていたと思うのですが、
この身の変わりの素早さが、団塊の世代がその後も世の中の美味しいところどりをできた
能力なのかなと思ってしまいました。




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