fc2ブログ
『文藝春秋 SPECIAL』
- 2007/10/13(Sat) -
『文藝春秋 SPECIAL 心の時代を生きる』(文藝春秋)、読了。

日本人の宗教観を取り上げた季刊創刊号。
興味深い内容で、一冊丸ごと楽しめました。

「あなたの信仰は?」と聞かれて「無宗教です」と答える日本人。
私は、日本人は決して信仰心がないのではなく、
「宗教」というものへの抵抗感と無関心があるのだと思っています。

日常に様々な慣習が残っており、
冠婚葬祭も何らかの宗教儀式に則って行うのが日本人です。
古来から伝わる「神道」や「儒教」が、
「宗教」としての体系だった枠組みを持ち得てこなかったために
「民間信仰」の枠を超え無かったのだと思います。

そして、明治以降の神道の政治利用により、体系だった宗教への抵抗感が
日本人の体内に出来上がってしまったのではないかと思います。
そこで、「無宗教」と答えることで、「自分はイデオロギー的に無色である」と
暗に無害さを主張しているようなところがあるように思われます。
そして、土着の信仰は宗教ではないと積極的に線引きして
安心感を得ようとしているような。

一方では、「宗教」や「信仰」について真剣に考えることをせず
「無宗教と言っておけば日本人なら許される」という手抜きの人も
多いと思いますが・・・。

今回、本誌を読むことで、日本人の宗教観というのは
非常に正常・真っ当なものなんじゃないかという気がしてきました。
一神教のようなガチガチに体系化された教えというのは、
信仰本来の姿を理論で覆いつくすようになり、
信じることの本質がどんどん見えなくなってしまっているような気がしました。
そして、型にはまること、規則に従うこと、禁止に耐えることにより
日常生活者としての感覚からどんどん離れたものになっていくんじゃないかと。

そうではなく、あくまで日常における一つ一つの教え、儀式、イベントとして
生活を主として土着の信仰があるというのが、非常に人間らしいように思えました。

まだ、うまく言葉にできず。もやもやとしているのですが、
地元のお祭りの神事などのことを思うと、
無理に体系化をせずに、一つ一つ積み上げてきた
日本に根付いている古来の慣習は、偉大な文化だと思います。

もし私自身が信仰について問われたら、
「八百万の神々の存在を信じ、死者への儀式は浄土教に依っています」
となります。






にほんブログ村 本ブログへ

関連記事
この記事のURL |  文藝春秋 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<内さま | メイン | 唐人踊り・しゃご馬>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/699-78ac5d31
| メイン |