『南の島のティオ』
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- 2007/09/24(Mon) -
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池澤夏樹 『南の島のティオ』(文春文庫)、読了。
あんまり「児童文学」という区分けは好きではないのですが、 そう呼ばれているジャンルの作品を久々に。 冒頭の「絵はがき屋さん」から惹き込まれました。 「ナイスデイ絵はがき会社のピップさん」だなんて、 すでに名前からしてファンタジーです。 受け取る人が必ず訪ねてくるという魔法のような絵はがきを作る ピップさんのお話は、おとぎ話のようでありながら、 どこかにそういう絵はがき屋さんがいるんじゃないかと期待させてくれる一編。 そして、結末にある重みは、この短編集全体の底辺を流れています。 カラッとした南の島の出来事の根底に流れる悲しみのようなもの。 自然を相手に島に生きる人々の試練のようなもの。 ところで、この冒頭の絵はがき屋さんの話をベースに 連作短編が展開されるのかと思いきや、 個々のお話は独立していたので、そこはちょいと肩透かし。 私が個人的に好きだったのは「帰りたくなかった二人」。 なんだか、小笠原を思い出しちゃいました。 行くと帰りたくなくなる島・・・。 小笠原をはじめ、島には予定外の長期滞在をしている方も良くお会いします。 でも、私は、小笠原なら帰ってこなくなることは無いな。 遠くて行き来に時間がかかるとはいえ、 日本だし、東京のテレビが見られるし、携帯電話もつながるし、 やっぱり東京の一部。 本作の南の島ぐらい地政学的に離れてないと、 今の日常を捨てることなんて出来ないなぁ・・・。
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