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『三重県の歴史』
- 2023/01/10(Tue) -
西垣晴次、松島博 『三重県の歴史』(山川出版社)、通読。

祖父の兄弟のおじさんの遺品としていただいた本。
服飾雑誌の編集の仕事をしていて趣味がワインというようなお洒落なおじさんで、
私とは嗜好の方向性が違うので、それはそれで話が面白かったのですが、
蔵書の中から故郷三重県に関する本を何冊かいただきました。

こういう郷土史的な本になると、日本社会全体の歴史の流れを無視して
とにかくその土地の歴史を順番に書いていくことがあり、
さして歴史学上重要性のない話が延々と続いてしまうことがありますが、
本作はどちらかというと、日本の歴史を軸において、日本社会全体に大きな影響を与えた
歴史的な出来事の中で三重県という土地や三重県出身の人材がどういう関わり方をしていたのか、
つまりは三重県が日本の歴史にどういう影響を与えたのかという視点で書かれており、
面白かったです。

歴史の流れが切れ目なく描かれるわけではないので、
基本的な日本の歴史の流れが頭に入っていないと、断片的な出来事解説の連続となってしまい
理解がしづらいかと思いますが、でもまぁ、郷土史に興味を持つ人は、
ちゃんと日本全体の歴史を理解できている人が大半でしょうから、
こちらの方が、三重県が歴史に果たした役割が分かって興奮しながら読めると思います。

ただ、残念なのは、「三重県」と言いつつ、ほとんどが津市周辺の歴史であること。
あとは時代によって京都奈良との接点である伊賀上野や、商人の町・松阪などが
出てきますが、伊勢志摩方面についても情報が薄く、さらに南の地域は、ほぼ触れられていないです。

まぁ、南の方は紀州藩だったので、やっぱり縁が薄くなっちゃうのは仕方ないですが、
それにしても内容が薄かったです。

九鬼水軍の話とか、海運業の話とか、水産業の話とか、林業の話とか、
そういうトピックスも大きく取り上げてほしかったかな。




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