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『我が老後』
- 2023/01/07(Sat) -
佐藤愛子 『我が老後』(文春文庫)、読了。

ご長寿作家さん、エッセイの中に「私は68歳」と出てくるので、
今から30年も前に書かれたものです。

家で飼っているショボクレ犬・チビの話から始まりますが、老いて見た目が悪くなり、弱ってきたかと思いきや
食欲も色欲も衰えないばかりか本能むき出しとなり、その姿を見せられて著者はイライラ。

庭から家に上がり込んでいるのを見つけると追い出そうと必死になり、
時にはスリッパで叩いて罰を与えたりします。
愛犬家の方が読んだら「何やってんだ!!!」となっちゃいそうな犬との接し方ですが、
私は、こういう昔気質なペットとの接し方の方が好感持てます。
人間と犬は違うんだという線を引くことは、重要なんじゃないかと思ってます。

このショボクレ犬だけに厳しいのではなく、インコのピーにもプーにも厳しく、
著者の中に「人間と動物は違う」という本質的な理解が太く貫かれているように感じられました。
(最後にやってきた犬のグーにだけは甘かったのは理由が良く分かりませんでしが・・・・)
今は、「ペットも家族の一員」とか「自分の子供」みたいなことを言う人が多く、
ちょっと甘やかしすぎだし、人間という種としての自我が崩壊しているんじゃないの?と
私は懸念を覚えてます。

そして、動物に向けての目線だけでなく、娘が生んだ孫に対しても
「私を『じいさん』だと思え」というように、「一切世話の手伝いはしない!」と宣言しており、
自立した生き方を好む人なんだなと好感を持てました。

一方で、その対極にいるかのような娘さんについては、私は結構厳しい感想を持ってしまいました。
そもそも、自分が飼えなくなったからといってインコ2羽を母親に押し付けたり、
ペットショップで一目惚れしたからと既に2匹も犬がいるのにさらに買ってきたりとか、
動物の命や暮らしへの尊重が感じられない軽い判断と行動が苦手です。

まぁ、ペットショップという業種が経営を成り立たせていくには、
こういう思い付きと勢いで動物を飼ってしまう人が一定数存在してくれないと困るんでしょうけど。
昔のエッセイだから炎上してないですけど、今、このエッセイをブログ記事として発表したら
即大炎上コースかと思います。

正義を押し付ける今のネット警察のような人々は行きすぎだと思いますが、
でも、動物の命や暮らしについては、もうちょっと慎重に考えてほしいですね。




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