『これは経費で落ちません!3』
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- 2022/10/22(Sat) -
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青木祐子 『これは経費で落ちません!3』(集英社オレンジ文庫)、読了。
久々のシリーズ3作目。 今回も、経理のルールに従わない社員のワガママ行動がいくつか登場してきますが、 経理の森若さんによる糾弾はあんまり行われず、 スッキリ感はありませんが、組織内の人間関係やパワーバランスについての洞察に リアリティがあって納得できる内容です。 会社組織の中には、様々な階層が居て、学校ではスクールカーストという呼び名が一般化しましたが、 会社の中にも身分制度がありますよねー。社員登用とかあるので、カースト制度のように 固定化はしていないのですが、でも、各身分に対するイメージは固定化されていると思います。 もちろんそれは、会社が社員の雇用形態に応じて要求する能力水準が異なるから あって当然だとは思いますが、一方で、「一般職は口を出すな」「同じ仕事をしてても契約社員は正社員より下」 というような当人の能力とは関係のないところで押し付けられるものがあるので、不合理だなと思います。 できる人にはどんどん仕事と役割を与えて、フル活用すればよいのに・・・・と思ってしまいますが、 人材を活用しきれる能力のある上司がいないと、無理なんでしょうねー。 そうなると、それぞれの身分の中で、周囲から睨まれないように、うまく人間関係を構築できるように 気を遣い始めるので、本作に登場してくるような、細かい出費を自腹で負担する契約社員とか 無能な年上同僚の尻拭いをさせられる若手社員とか、出てきちゃうんですよねー。 そういう、会社組織内の不合理な人間関係の様子が、非常によく描けていると思います。 起こっている事件は、ちょっと突飛な感じのものが多い(クリスマスツリーが破壊されるとか)ので、 そこはリアリティがないように思いますが、しかし、そこまでリアリティのある設定にしちゃうと、 会社組織のドロドロを重厚に描き出してしまい、読んでてしんどいかもしれませんね(苦笑)。 ![]()
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