『ドキュメント 金融庁 VS 地銀』
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- 2022/10/17(Mon) -
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読売新聞東京本社経済部 『ドキュメント 金融庁 VS 地銀』(光文社新書)、読了。
かつて、金融機関に勤めていたので、金融庁検査は間接的に影響を受けてました。 金融庁が来る!となったら、メガバンク側のカウンターパートナーさんが 「金融庁検査最優先の指示が出てるので、しばらく動きが悪くなると思います、すみません・・・・・はぁ」 とため息交じりに電話がかかってきたものです。 というわけで、金融庁検査に対して、銀行マンは戦々恐々としているというのは 彼らのバタバタぶりから間接的に感じていました。 一方で、私は、直接検査の様子を見たことがないので、どんな感じなのかは あんまり固まったイメージを持っておりませんでした。 (わたくしテレビ持ってないので、例の池井戸ドラマは見てないです・・・・・苦笑) さて本作ですが、勝手に「メディアは官庁に対して批判的な言論を持つ」と思い込んでいたので、 思わぬ金融庁への期待感に満ちた本作に、驚いてしまいました。 まぁ、読売新聞は、他の新聞よりも体制に近いところにいるメディアだとは思いますが、 取材当時の森信親金融庁長官の手腕をかなりかっているようで、 その在任期間中に行った金融機関への具体的な指導や処分、 特に地方銀行の統合再編について、評価をする内容でした。 確かに、地銀の統合再編は一時期に一気に進んで、そのたびに、私の勤め先では ビジネスチャンス!ということで、各銀行に営業に回ってましたし、 実際にいくつか案件を受注してきていました。 金融業界の崩壊を防ぐための金融庁の指導だったのだと思いますが、 その余波で潤った周辺企業もあり、ありがたいことです。 今一度、金融庁の取り組みを本作で追ってみると、 最初に、潰すべきヤバい金融機関は冷酷に潰してしまい、 その後、弱小地銀の再編などで潰れないように誘導し、 土台が整ったら貸付事業の後押しと、フィンテックなどへの積極的参加を促していくという なかなか、確かにきちんと手順を踏んで改革を実行していっていて、 官僚組織の優秀さが適切に機能すれば、ちゃんとできるじゃないのー!という感じです。 それには、優秀な官僚たちだけではダメで、筋の通った方針を打ち出して それを有言実行で推し進めていく長官の覚悟と、その長官に信頼して現場を任せ、 また時には障害となる事態の打開を支援する政府与党の本気度が 大事な要素だと実感しました。 森長官の時代は、安倍政権だったので、長官と政権の間の力強い関係が分かりやすく見えますが、 それよりも、小渕政権から小泉政権の間の時期に、潰すべきところは潰すという 腹をくくった対応をしたことで、その後、改善の手を打ったら効くようにできたというところが キモなのじゃないかなと感じました。 竹中平蔵さんとか、最近のメディアでのいじられ方や自虐ネタにする姿を見てると、 この人は世の中の悪役というものを引き受けて、でもやるべき改革は断行するという 覚悟をしたのかなと、最近ちょっとヒーロー的な目で見るようになってきました(爆)。 いろいろ言われてますが、時には冷たく切るような改革をする人も必要ですよね。 ![]()
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