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『官僚たちのアベノミクス』
- 2022/10/03(Mon) -
安倍晋三 『官僚たちのアベノミクス』(岩波新書)、読了。

国葬も無事に終わり、「後を継ぐ政治家たちよ、
安倍さんように日本国の将来をどうするか真剣に考えて、死に物狂いで頑張れよ!」
と、死者の弔いよりも生きているものへの期待と発破が心に残りました。

その点で、日本の若者へのメッセージを含んだ菅さんの弔辞は
グッときました。未来は若者のためにあるのですから。

さて、国葬の余韻の中で、何か安倍さんに関する本は積読の中になかったかな?と
探してみたら、山の中から本作が出てきました。

安倍元総理について書かれた本は、なにがなんでもバッシング目的のものと、
非常に親しい間柄の人が自分のポジションを高めるために安倍さんを利用しているような本と
両極端に分かれるように思うので、まずは、読む前に、どちらの立場の著者かしら?と
疑う癖が身についてしまいました(苦笑)。

著者は、時事通信出身ということで、こりゃ批判グループかな?と思ったのですが、
あにはからんや、淡々と事実を書いているような文章が続き、
著者自身の評価というか判断というか、そういう意見めいたものはかなり控えた筆の運びとなっており、
タイトルの通り、安倍政権からの指示に対して官僚たちがどういう風に動いたかという
その事実を記録した内容に、とても興味深く読みました。

官僚組織は何かと叩かれることが多いですが、
やっぱり日本の中で優秀な人が集まってる組織だと思いますよ。
私の友人も何人か中央官庁で働いてますが、真面目に仕事をしてますし、
心の中では日本の将来のことをいろいろ考えながら動いてますよ。
組織の理屈もあるので、個人の意見がどこまで出せるかは別ですけどね。

民主党政権は、結局、その優秀な人々を目の敵にするというか、
国民の敵のような位置づけに置いてしまったのが最大の失敗だったんじゃないかなと思います。
優秀な人をいかに活用するか、もっと悪く言えば、いかに利用するかが
政治家の手腕の見せ所だと思います。

安倍政権では、政治主導だったとはいえ、政府が示した大方針に基づき、
すべての官庁がそれなりに真摯に動いた結果、それぞれの分野で
相応の業績を上げてきたと思うので、官僚としては、大変だったけども働き甲斐があるというか、
尽くし甲斐のある政権だったのではないかと思います。

なんだかんだ言って、自分たちがやったことに、きちんと結果がついてくるのは
どんな仕事でも、楽しいものですよね。
最初は疑心暗鬼だったり、当時の省庁側の理屈と政府の方針がズレてたとしても、
様々な会議で「こうするぞ!」と決まったことには、官僚さんたちはきちんと従うのが
官僚組織というものだと思います。

アベノミクスは、最終的には目標達成とはいきませんでしたが、
でも、政治主導で優秀な官僚組織をきちんと動かせば、これだけの政策実行ができるんだ
ということが、政治に意識のある国民には十分に伝わったのではないかなと思います。

この本は、日本の官僚組織も捨てたもんじゃないぞ、むしろ優秀だぞと思わせてくれましたし、
やっぱり政治家には信念が必要なんだということが実感できる内容でした。

そして、今や新書ブランドは乱立状態ですが、
やっぱり岩波新書の「確かさ」は別格ですね。




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