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『「おじさん」的思考』
- 2022/09/23(Fri) -
内田樹 『「おじさん」的思考』(角川文庫)、読了。

著者の社会考察にはとっても納得できるのに
なぜか社会問題の解決策としての政策議論になると全然賛同できないという傾向が
顕著なのですが、まあ、でも仕方ないのかな。

経済学者とかになると、政府に直接経済政策を助言する学者という存在はあり得ても、
社会学者や哲学者は政府と近づくきかっけがないですよね・・・・。
で目だつ論陣を張ろうとすると、政府には批判的な言説となってしまい、
なんだか反対ばかりしているように見えてしまう・・・・・あ、どこかの野党みたいだ!

いや、決して、内田樹氏が野党的だと言っているわけではないのですが、
でも立憲民主党パートナーですからね(爆)。

閑話休題。

本作でも、自衛隊と憲法9条みたいな議論は、やっぱり、そっち側の結論になるのかー的な
ところはありましたが、でも、概ね、日本社会をバッサリ斬ってるところは
読んでいて興味深かったです。

本作を通じて感じたのは、著者は、日本社会の今の姿をありのままに受け止めて、
決して理想論を振りかざそうとせず、「今すでにこういう事態なのだから
今後に向けて最善の策はこういうことだと思うよ」という、結構冷たい提案なんですよね。

でも、著者の提案は、「できない人はできないし、分からない人は分からないんだから
分ってる僕らがこういう風に気を回してあげないとダメだよね」的な、
最後の最後は優しい結論になるんですよね。

私は、そこを、「分からない奴には分け前はない」と最後までばっさり切り捨ててしまうので
著者の提案には「そんな最後に優しくしちゃったら、分かろうという努力をしなくなっちゃいますよ~」
と批判的な気持ちなっちゃうんだなと、なんとなく理解できました。

最後の最後、弱者の側に立つのが著者で、最後まで勝ち組思想に乗っかってるのが私。
自分もいつ脱落するかわからないから、著者のような優しい世界の方が
本当は良いのかもしれないと思いつつ、でも、甘やかすから世の中が堕落するんだ!と
思っている自分もいて、結論が出ないです。

40代でまだ体力があるから、勝ち組理論に乗っかりたがるのかもしれません。
50代になり、60代になったら、転向してるかも。




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