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『千年樹』
- 2022/09/10(Sat) -
荻原浩 『千年樹』(集英社文庫)、読了。

荻原作品、いつの間にこんなに買い込んでいたんだろう?というぐらい積読になっていて、
昨年から良いペースで積読消化している気がします。

本作は、とある地方の小さな町の端にある巨大なクスノキにまつわる物語。
クスノキを舞台に、その芽生えから朽ち果てるまでの1000年間に起きた出来事を
連作短編形式で見せていきますが、各短編の中でも、
2つの時代を行き来させるという複雑な構成になっています。

そして、このクスノキがもたらす物語は、基本的に悲劇。
その芽生えからして、平安時代に東国へ国司として派遣された貴族が、
現地の武装勢力に反旗を翻され、逃げ延びる途中で両親とも息絶え、
残された幼い子供も飢え死にするという悲劇がベースになっています。

その幼い子供の霊が取り憑いたかのようにクスノキの周りには
時代を経ても、血生臭い出来事や悲劇的な結末のエピソードが散らばっていて、
何とも言えない陰鬱な空気が流れる作品です。

文章のタッチは、特に現代の人間たちを描くところでは、ユーモアタッチになっていますが、
皮肉が効いてるので却ってブラックです。
学校でのいじめ、貧困家庭に生まれたがための犯罪との近さ、
子供の頃の人間関係が大人になってまでも尾を引く地方の閉塞感、
様々な現代の歪みが、ユーモアにより陰湿にあぶり出されてきます。

あー、荻原作品て、時々すごく陰湿だよね・・・・・と思い出させてくれる作品です。

そんな短編たちの中で、明るい終わり方をする「バァバの石段」が
昔の出来事の真相も、現代に生きる人の前向きさも描いていて印象的でした。




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