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『ライアー』
- 2022/09/07(Wed) -
大沢在昌 『ライアー』(新潮社)、読了。

最近、大沢作品をたくさんくださるお客様がいて、
次々と持ち込んでくださるので、早速読んでみました。

主人公は、秘密の政府系暗殺組織に所属する殺し屋の女。
いかに効率的にターゲットを抹殺するかの能力に長けており、
感情に左右されないので、組織の中で最も成果を上げている人物。
本質は非人間的なはずなのに、なぜか熱烈なプロポーズを受けて大学教授と結婚し
小学生の子供までいる生活、しかし夫の父は、この暗殺組織を立ち上げた黒幕で・・・・・。

いきなり上海での暗殺計画の実行場面から始まりますが、
主人公の状況判断の良さ、行動力、忍耐力、様々な能力の高さがコンパクトに描写され、
ワクワクしました。

暗殺は予定通り実行したものの、予想外の現場侵入者があり、さらに警察に取り巻かれ
そのまま上海警察へと連行されていきます。
身元がばれるのかと思いきや、数時間で釈放され、暗殺事件はヤクザ内の仲間割れということに。

帰国して数週間後、主人公の夫が北新宿のマンションの一室で
深夜に売春婦風の身元不明の女と火災で亡くなっているのが発見され、
主人公は、全く身に覚えがない場所と亡くなり方に疑問を抱き、自ら調査を始めます。

自分の身に起きた上海の事件については「日本政府の交渉のおかげかな」という感じで
スルーしてしまうのに、夫の事件にはいやに拘ります。
というか、夫の事件へのこだわりが普通の妻としての心情であり、
上海の事件をそれほど気に掛けずにいられることに、ちょっと変じゃない?と思ってしまいました。
まぁ、秘密組織に所属する者としては、組織の上位者を無条件に信用できなければ
殺人なんて仕事を請け負えないのかもしれませんが。

で、夫の事件の真相を暴くために、主人公は上司に報告を入れつつも
時折暴走して単独行動を行い、さらには夫の事件の担当の所轄刑事も巻き込んで
ついには、もう一つの組織の存在が見えてくる・・・・・・。

なんだか文章にしてしまうと、私の文章力に難があり、リアリティのない物語のように思えてしまいますが、
作品を読んでいる間は、ワクワクして手が止められませんでした。
まさに寝る間を惜しんで朝7時まで読んでしまいました(苦笑)。

スピーディな展開、登場人物たちの頭の良さと行動力の素晴らしさ、
組織のルールにはきちんと従うというお上品さと、丁寧な会話でズケズケ上司にモノをいう大胆さ、
2つの組織の性格の違いや、そうなるに至った必然性等もしっかりと描かれており、
納得しながら読み進めました。

中盤以降、キーマンとなる人物数人が、コトの真相をペラペラしゃべる展開が何度かあり、
「ちょっと無防備にしゃべらせすぎなんじゃないの?」とも思いましたが、
そこも、次の展開への布石というか、真相の複雑性を演出する形になっており、後から納得。

読み終えて、全ての真相を知ったときには、
統計学者の夫は、こういう展開になる可能性をどのぐらいの確率だと予測していたのかなぁと
なんだか虚しい思いに囚われてしまいました。




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