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『危機の経営 サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション』
- 2022/08/01(Mon) -
畑村洋太郎、吉川良三
         『危機の経営 サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション』(講談社)、読了。

メインタイトルだけ見て買ってきたのですが、読み始めたらサムスンの企業改革の話で、
そこでようやくサブタイトルを確認する始末(苦笑)。
日本の企業経営を学ぶつもりで手に取ったのですが、予定外に韓国の話となりました。

たしかに、韓国は経済危機になっていたはずなのに、
いつの間にか財閥グループがどんどん海外マーケットに進出して大ブランドになり、
日本のブランドよりも、分野によっては認知度もシェアも握っているような状態になりました。
私も、会社員時代、財閥グループの金融会社が日本に進出してくるのに
事業提携したりして、社内で、顧客でもあるが同業他社として脅威に感じるという
不思議な存在感を発揮していました。

そんな財閥グループの中でも最も有名なサムスングループに、
会長から請われて経営改革の指導に行ったという吉川氏の話を軸に、
そこに畑村氏が簡単な解説を加えるという構成です。

当初の読書目的とは異なりましたが、
サムスン躍進の理由が、日本人の目で、内部から解説されるという内容に、
非常に興味を持って読み進めることができました。

そもそも吉川氏が韓国に渡った時点では、
サムスンは、日本の有名ブランドの製品を模倣して安く製造するという単純な戦略をとっており、
見本の日本製品を見ながら、だいたい同じような感じに組み立てるという方法で、
マニュアルもない、指導者もない、原価計算もしない、工場の現場の整理整頓もしないという
まぁ、発展途上国にありがちな状態だったようです。

そこに対して、1つ1つ吉川氏が仕組みを導入し、組織内に徹底させていった様子が描かれます。
まずは、吉川氏が、会長に請われてやってきた重要人物としての立ち位置があり、
韓国財閥における会長の絶対的な権限と指導力、そして会長直属の秘書室が持つ権限を
バックボーンにしながら改革をして行けたという、韓国企業ならではの文化があるのかなと思います。
政府による支援も日本よりもっと露骨で徹底してるでしょうし。

本作中ではちょっとしか触れられてませんが、成績の悪い社員を即日クビにしたりしてて
日本よりも首切りがしやすい法体系なのかなと感じました。
そういう人員整理を強行できる方の裏付けがあると、より一層、会長や秘書室の権力は強くなり
トップダウンで指示を落としやすくなりますよね。
多分、日本よりも、グループ本部と各グループ企業、本部と現場、ホワイトカラーとブルーカラーの間の
断絶というか、階層的な意味での絶対的な距離感があるのではないかとも想像しました。

なので、サムスンで著者が実行したことと同じことが日本でできるのかというと
そこには疑問がありますが、ただ、こういうか専制政治的な企業経営ができる場合は
経営理論をそのまま上からズドーンと落として指示できる強さがあるので、
その経営理論がほんとうに有効なのか否かを判断できる良い事例だなと感じました。

畑村氏の解説で印象に残ったのは、その企業が行っている事業や組織の強み弱みに
1つ1つ価値を付けていく、その価値づけとは優先順位付けであるというもの。
優先順位付けとは、つまり困ったときに残さないといけないもの、切り捨てるべきものを
明確化しておくということであり、その事業の成長や進退に応じて
優先順位付けを柔軟に変動させていくことが大事なんだろうなと思います。

こういうところは、自分も経営に取り入れていかないといけないなと学びになりました。




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