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『逆説の日本史8 中世混沌編』
- 2022/04/12(Tue) -
井沢元彦 『逆説の日本史8 中世混沌編』(小学館文庫)、読了。

恐怖政治の足利義教以降の足利将軍たちは、みんな覇気がない印象ですが、
その印象のまま応仁の乱に流れ込んでいく権力闘争の様が解説されています。

明確なリーダーシップがないときに、日本人の「話し合い」という特性が全面に出てきますが
ルールのない行き当たりばったりの話し合いは、当然、ビジョンのない政治展開になっていき、
そこに権力志向の細川氏や畠山氏、私利私欲に走る日野富子、好戦的な武将たち、
サブタイトル通り、まさに混沌です。

私が日本史の授業で応仁の乱に興味が持てなかったのは、
ダラダラとした戦況もそうですが、誰も日本という国をどうしていきたいのか
明確なビジョンがないまま、自分の個人的な目的のために戦争をしているので
肩入れしたいと思う人物が居なかったことが原因なんだなと、
本作を読んで改めて認識しました。

そして、この混沌の原因を作った将軍義政は、政治センスが全くないということになりますが、
反面、芸術方面には素晴らしいセンスを発揮して、
東山文化という形で結実させ、現代の世にも伝わる日本家屋の作りの基礎になったというのは、
それはそれで素晴らしい功績です。
歴史って、難しいですね。

後半、観阿弥・世阿弥の解説のところで、なぜ日本には「演劇文化」が室町時代まで発展しなかったのか
という問いが立てられ、今までそんなことを考えたことがなかったので、
こういう視点もあるのかぁ・・・・・・と感嘆。

確かに、『万葉集』『源氏物語』『枕草子』など、偉大な文芸作品が多数出ているのに、
演劇というのは、室町以降のイメージだし、私の印象としては江戸時代以降の庶民のものという
イメージが強いです。

それを、井沢史観の「怨霊」というキーワードでスッキリ解説がなされて、大納得。
「怨霊」という軸で日本史が語られると、本当に、一つの民族の歴史が綿々と繋がっているんだなと
いうことを実感できます。

室町時代への見方も変わったし、7巻、8巻も面白かったです。




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