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『極悪専用』
- 2022/04/09(Sat) -
大沢在昌 『極悪専用』(文藝春秋)、読了。

ハードボイルド作品は、その独特な世界観というか、独特なルールが苦手で
著者はハードボイルド作家という認識なので、あんまり触手が伸びないのですが、
本作は実家の本棚にあったので読んでみました。
両親の趣味とも思えないので、いただきものかな?

結論から言えば、面白かった!
裏社会の物語なのですが、ウィットにとんだ語り口と、魅力的なキャラクター達で
サクサク読める連作短編集でした。

タイトルは小説の舞台そのものを表しており、
多摩川べりのマンションを裏社会の組織が買収しまるごと管理。
そこに住むには何かから逃げたり、身を隠す必要がある、まぁ簡単に言えば犯罪者が住人。
完璧なセキュリティとプライバシー保護を謳い文句に、高額な家賃で貸し付けています。
死体の回収や武器の保管庫など特殊サービスも充実。

主人公は、裏社会で絶大な力をもつ祖父の威光で、好き放題やってきたイキッたおにいちゃん。
祖父のお仕置きで、このマンションの管理人助手として1年働かされることになり、
下手を打つと即死という過酷な環境で、もちまえの要領の良さで生き延びていきます。

50室以上もあるマンションなので、殺し屋、ハッカー、アラブの富豪、元CIAなど
様々な人間が住んでおり、短編それぞれでいろんな事件が起きます。
話を大きくしようと思えば、1つ1つ膨らますことができそうなネタばかりですが、
あえてサクッと話を終わらせ、マンションのルールである「完璧なセキュリティとプライバシー保護」の
枠内でしっかり収まらせているので、起きている事件は過激なものばかりですが
小説として風呂敷を広げ過ぎて破綻していくようなところが目につかず、
すんなりと小説の世界を楽しむことができました。

ハードボイルド作品を好む人にとっては、このあっさりと短い分量で終わらせてしまうのが
物足りないというか、全然ダメ!という感想になってしまうのではないかと思いますが、
私は、ある種、ブラックユーモア小説として捉えたので、そのサクッとした感じが
裏社会の冷たさとリンクしているようで、良い味になっていると感じました。

続編が出てるなら読んでみたいのですが、出てなさそうですね。




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