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『三毛猫ホームズの狂死曲』
- 2022/02/16(Wed) -
赤川次郎 『三毛猫ホームズの狂死曲』(角川文庫)、読了。

有名指揮者が主催するバイオリン・コンクールの決勝戦1週間前。
指揮者が用意した邸宅に決勝出場者全員が1週間缶詰にされ、
コンクール用に作曲された新曲も含めて最後の練習に向かう・・・・・。

この決勝出場者の1人が、缶詰になる直前に何者かに襲われるという事件が起き、
片山刑事が一緒に住み込むことに。
しかし、片山刑事の目の前で、死体が1体、2体と現れ・・・・。

とにかくいろんな人が傷つけられたり、殺されたり、中には自分を傷つけたりして、
なんとも恐ろしい状態になっているのに、続行されていくコンテスト。
幼いころからバイオリンに打ち込んできた青年男女の強い信念、
そして彼らの親(特に母親)の執念が渦巻いていて、人間って怖い!

こんな1週間も缶詰め状態にされるようなコンテストが現実世界でもあるのかどうか
全く知らないのですが、そういう極限状態に置かれたら、人間の本性が出ちゃいますよね。
個人のキャラクターに加え、金持ちの家の子の我が儘という追加要素もあり
みんな、嫌味な人間に出来上がってます(苦笑)。

そういう金持ちコミュニティの人間関係というか、
子供への投資の仕方とか、自分の子が最優先の我が儘の通し方とか、
そういう部分を特に興味深く読みました(笑)。
ま、実際にお金持ちの方からは、「こんなんじゃないよ!」と言われるのでしょうけれど。

そして、有名指揮者の朝倉と、コンクールの実際を仕切っている須田、
細かな運営には興味がない朝倉は、須田に実務を丸投げしてますが、
正直、こういう経営者だと現場責任者はやりやすいですよねー。
結果さえちゃんと出せば、ある程度の裁量を任せてもらえるのですから。
ある意味、いい職場だなーなんて、変な感想を持ちながら読んでました。

殺人事件や脅迫事件については、もう、ファンタジーの世界みたいな
非現実的な要素を強く感じたので、ま、物語を進めるためのスパイス程度に捉えて、
片山兄妹やホームズの活躍に、あはは、と笑いながら読めました。




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