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『逆説の日本史7 中世王権編』
- 2022/01/28(Fri) -
井沢元彦 『逆説の日本史7 中世王権編』(小学館文庫)、読了。

第7巻を100円で見つけたので、半年ぶりに井沢史観

南北朝時代と室町幕府の成立あたりの話ですが、
子供の頃、NHKの大河ドラマ『太平記』を見てた世代なので、
足利尊氏は真田広之、楠木正成は武田鉄矢、後醍醐天皇は片岡孝夫が
頭の中で動き回ってました(苦笑)。

相変わらず本篇でも、武士たちには「天皇を討つ」という発想がなく、
「君側の奸を討つ」という名目で、天皇に味方する武力勢力を叩こうとします。
天皇制度という大きな枠組みを、誰一人裏切ることなくその枠の中で権力争いをし、
枠組み自体をぶっ壊そうとする革命児は現れてきません。
日本人って、まじめだよなー、と、変なところで感心。
でも、「天皇に逆らうと怨霊に苦しめられる」という恐れがあると
その枠組みに挑戦しようという漢はなかなか出てこないのかなぁ。

で、尊氏も天皇家の権力のもとで幕府を開こうとするわけですが、
今までの武士の棟梁と比べると、なんだか優柔不断な印象が。
戦には強かったようですが、政治センスがなさそうなんですよねー。
戦国時代の大名たちは、戦のセンスと政治センスと両方を持ち合わせていないと
すぐに有力な大名に潰されてしまう競争体制だったこともあり、
優秀な人物が同時代にたくさんいたように感じますが、
それに比べると尊氏は粗削りな印象です。時代のせいですかね。

室町幕府と言えば、足利義満が最初に頭に浮かんでくるのですが、
教科書で学んだ義満のイメージは、勘合貿易とか北山文化とか
なんだか金満政治のような印象だったんですよね。
義満が天皇になろうとしていたというエピソードは教科書にはなかったような気がするのですが
私が室町時代に興味がなかったから覚えていないだけなのか、
それとも天皇の座を乗っ取ろうとした出来事は、忖度して教科書からは消されているのか、
興味深かったです。

同様に、義教については、くじ引き将軍というエピソードばかりが印象に残ってて
あんまりその政治手腕については知らなかったのですが、
恐怖政治の内容を知るにつれ、混乱した時代を収めるには
剛腕が必要なんだなぁ・・・・彼はやり過ぎたみたいだけど・・・・・。
ということで、このあたりのバランスが取れると、家康のようなレベルの政治家として
後世に名が残るんでしょうね。
当時の外的環境とか物事の経緯とか、自分にはどうしようもない要因もあって
時代が混乱していたことは可哀そうだなという一面も。

なんだか、「運も実力のうち」という変な感想を持ってしまいました。






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