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『リバース』
- 2022/01/15(Sat) -
湊かなえ 『リバース』(講談社文庫)、読了。

頭が良いと世間に認識されている東京の大学で、同じゼミを選択した同期生5人。
主人公は、そんな5人の中で、最も地味で存在感のない男の子。
他の男子は、垢ぬけて快活な雰囲気を漂わす、いわゆる「リア充」男子。
卒業後も細々と続く交流は、学生時代にみんなで行った旅行先で事故により1人が亡くなったからだった。

ある日、この主人公に初めてできた彼女のもとに、
「深瀬和久(=主人公)は人殺しだ」と書かれた手紙が投げ込まれ、
この手紙の犯人探しと、事故の真相究明が同時進行で進んでいきます。

本来は、この謎解きを軸に読んでいくのが正しい読書の姿勢なんだろうと思いますが、
私はむしろ、この地味で卑屈な主人公の心理描写の方が気になってしまい、
あぁ、そういう風に世の中を眺め、評価しているのかー、と、
いわゆる地味グループの人の考え方や行動思考に興味を持ちながら読みました。

こういう地味グループの存在というのは、私自身の中学、高校時代を振り返っても
ぱっと思い浮かばないのですが、最近、「スクールカースト」という言葉が出てくるようになり
その概念を使って、自分の子供時代を振り返ると、「確かにな―!納得!」という感じで、
教室の中のグループ分けは腹落ちします。

ただ、「地味グループって居たよなー」と思いつつも、具体的な顔や名前を思い浮かべることができず
「地味グループ」という抽象的存在で終わってしまっています。
多分それは、教室みんなで共有したような彼らのエピソードがないからかなぁ・・・・と思ってしまいます。
そういう存在感の薄さという点で、深瀬という主人公が、みんなの記憶に残ってないという描写も
なんだか納得できてしまいました。

そして、教室内で、そういう立場にずーっと置かれていた人物が、
どういう目で自分自身を評価し、他人の視線を受け止め、他人が教室内で輝いている姿を分析しているのか
その一つ一つはが、卑屈すぎて読むのがしんどいところもあるのですが、
でも、そういう価値観、世界との関り方もあるのか・・・・・と勉強するような心持ちで読んでました。

特に、終盤に古川が登場してきてからの、深瀬と古川の対話が非常に面白かったです。

湊作品は女性心理の描写に長けていると思いますが、
本作は、むしろ男の子の屈折した心理を描くのに長けている朝井リョウ作品を読んでいるかのようでした。

一方、多くの読者が期待しているであろう謎解き、最後の最後での大どんでん返しに関しては、
事故の真相の方は、私は結構面白く読めましたが、
手紙の犯人の方はイマイチでした。
途中で予想できてしまうという点と、犯人にとって達成したい目的と手段の陰湿さがアンバランスな気がして
要は、いくら怒りの気持ちが湧いてもこんな方法を選択しないだろうに・・・・・という非現実感。

ちょっと最後はちぐはぐな印象も受けましたが、トータルでは面白かったです。




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