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『ユートピア』
- 2021/12/25(Sat) -
湊かなえ 『ユートピア』(集英社文庫)、読了。

とある地方の港町。
大きな水産加工会社の工場があり、
生粋の地元民、水産加工会社の転勤族、地方で芸術を生み出そうとする移住者、
この3つの異なる人種が暮らす街が舞台です。

移住者たちは「芸術村」と称して、郊外に暮らしていましたが、
やがて商店街の中の空き店舗にギャラリーやカフェを出店するようになり、
この商店街で、異なる3つの人種が交差するようになります。
一見、うまく交流が進んでいるように見えますが、それは建前の部分であり、
本音のところでは、それぞれの人生観あるいは人生への諦念により
お互いの生き方に対する非難めいた視線がチラチラ。

隣の芝は青いと言いますか、自分にはない人生の選択肢を持っている他人への妬みと言いますか、
主人公の女性3人は、どこか愚痴っぽい(苦笑)。
でも、それぞれに自分の生き方にプライドがあるから、
決して表立って愚痴を言うわけではなく、あくまで自分の心の中でグチグチ繰り返す。
あー、この感覚、わかるわー(爆)。

私も地方在住ですが、根っからの地元の人と、仕事で引っ越してきて住んでる人と、
その地を選んで移住してきた人と、交じりあっているようで、
決して一つに混ざることはないということを実感する日々です。
表立って対立することはほとんどないのですが、どこかお互いに線を引いている感じが
時々伝わってくることがあり、冷たーい感覚を覚えることもあります。

その感じが、作品の中にうまーく再現されている感じで、
田舎あるあるだなぁと思いながら読んでいました。

過去に起きた殺人事件とかも絡んできますが、
正直、事件の推理の方は、どうでもよくなるぐらい、
今を生きる3人の女の心の中を覗くことが面白くて、ぐいぐい読んでいけました。

なので、物語として何か大きな事件がおきて山あり谷ありの展開が・・・・という感じではなく、
そういうサスペンスを求めている読者の方には、あんまりウケはよくないかも。
「いやミス」としての、「ミス」側の要素は薄かったですが、
「いや」の方は、十分に味わえる作品でした。

最後まで読んでみて、この異なる3つの人種は、何が起きても
やっぱり一つに混ざることはないんだろうなと思ってしまいました(苦笑)。





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