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『目からハム』
- 2021/12/16(Thu) -
田丸久美子 『目からハム』(文春文庫)、読了。

田丸さんの通訳エッセイ、読むのは2冊目です。
前作では、とにかくイタリア人の恋愛観や口説きのテクニックみたいな話が盛りだくさんでしたが、
本作は、通訳としての心構えというか、自分なりのルールみたいなものの話も多く、
前作が会話術エッセイ的だったのに対して、本作はお仕事エッセイのように感じました。

ただ、そこはサバサバ才媛の田丸女子ですから、
もちろん面白おかしく味付けされてて、通訳としての仕事への興味も満たせるし
面白エッセイとしても楽しめるし、満足できる一冊でした。

観光ガイドとしてのイタリア人の日本観光の案内から始まり、
随時通訳、同時通訳とレベルアップされ、それぞれの場面での通訳としての技術上の注意点と、
話を伝える理解してもらい楽しんでもらうという、会話術上の注意点と
区別しながら解説されていて、納得感大でした。

さらには同業者がどんどん生まれてきて過当競争になっているという状況を踏まえ、
経済環境的な側面や、業界全体の能力レベルの側面の解説も
一つの産業の解説として興味深かったです。

自分自身の失敗談をさらけ出せるというのも、
ある種、自分の能力に相応の自信がないとできないと思いますので、
やっぱり田丸女子は、イタリア通訳界のレジェンドなんでしょうね。




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