fc2ブログ
『琥珀のまたたき』
- 2021/10/20(Wed) -
小川洋子 『琥珀のまたたき』(講談社文庫)、通読。

4人兄弟の末っ子が、犬に頬をなめられた後に亡くなり、
「魔犬の呪いだ」と考えた母は、残りの3人の子供を連れて別荘に引っ越し、
さらに様々な生活のルールを課したうえ、子供の名前も変えてしまいます。
図鑑の中からランダムに選んだ「オパール」「琥珀」「瑪瑙」へと。

著者の筆力で不思議な世界観が広がっているので、なんとなく読み進めていけましたが、
でも、「これって精神的にかなり歪んだ母親と、その母親に支配された歪みに気づけない子供の話だよな」
と気づいてしまうと、私には苦手なジャンルなので、読みこなせませんでした。

登場人物それぞれにとっては、それぞれの正義なり正しさなりで行動しているのだと思いますが
そういう真っすぐすぎる思いとか、視野が狭そうな感じが、
私には恐怖を覚えてしまうので、どうにも苦手です。

もうちょっと現実社会と接点がある話だったらついていけたかと思うのですが、
それだと小川ワールドの魅力が半減しちゃうのかな。

物語のキーになるアイテムが「図鑑」という、ストーリーもへったくれもない
ただただ事実を羅列するという冷たさを持った書物であることも、
この作品のダークな雰囲気を強めているんだろうなと感じました。




にほんブログ村 本ブログへ

関連記事
この記事のURL |  小川洋子 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<『時そばの客は理系だった』 | メイン | 『ツバサの脱税調査日記』>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/6571-1db3e889
| メイン |