『ツバサの脱税調査日記』
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- 2021/10/19(Tue) -
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大村大次郎 『ツバサの脱税調査日記』(幻冬舎文庫)、読了。
税務の解説本を書いている売れっ子作家は、小説分野に手を広げるのが王道なんですかね(笑) ただ、本作は、小説風にはなっていますが、小説と言い切るにはちょっと苦しい構成です。 8つの章に分かれているので8つの脱税事例が出てくるのかと思いきや、 丸々1章を税務署の仕組みの解説に充てていたりして、小説にはなり切れていません。 さて、物語の主人公は、税務調査に抜群の成績を残し、2年目にして特別調査班に抜擢される 中学生の女の子にしか見えない岸本翼。 脱税指南税理士の幸田との対決の中で成長していく姿が描かれます。 小説としてはイマイチでしたが、具体的な事例を通して脱税の手口を解説するという点で 小説風になっているのはわかりやすいです。 現金商売の飲食店がどんなふうに脱税するのかは解説本で知識として知ってましたが、 税務署がどういう風に脱税の指摘をして、ごねる飲食店側とどういう風に交渉するのか、 また税理士がどんな風に抵抗するのか、強弁するのか、 カリカチュアライズされている面もあるとは思いますが、分かりやすかったです。 今回の対決相手だった幸田税理士は、最後、「脱税だと証明してみろ!」というような 強い姿勢で税務署に向かってきましたが、ここまで強弁するケースって、 実際にはあるんですかね? 税務署側もメンツがありますから、余計な対決姿勢はムダな闘争をあおるだけで 税理士にとっても不利な気がします。 適度なところで手を打つ調整力の方が大事なのかなーと。 お互い人間ですからね。 人間らしい落としどころの見つけ方が良いのかなと思いました。 ![]()
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