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『逆説の日本史 6 中世神風編』
- 2021/08/29(Sun) -
井沢元彦 『逆説の日本史 6 中世神風編』(小学館文庫)、読了。

鎌倉仏教と元寇が中心の巻でした。

前半で、鎌倉仏教の話の解説でしたが、
そもそも大乗仏教と小乗仏教の違いは何なのか、日本における仏教とはどういう位置づけなのか・・・・
というところから遡って解説してくれているので、わかりやすかったです。

仏教というものが、入ってきた通りそのまま尊重されているのではなく、
日本の怨霊信仰などと結びついて、独特の教えや仏事や行事が生み出されたり、
信仰する側の日本人が独自の慣習を組み込んでいったりという変貌の過程が
かなり簡潔ではありますが解説されていたので興味深く読みました。

やっぱり日本人には、キリスト教やイスラム教、そして仏教のような
「人間が作り上げた宗教」は性に合わなくて、
もっと根源的な、アニミズムの方が骨身に染みてしまっているのだろうなと思います。
だから、何かにつけて、理知的な説明で説得されることよりも、
感情的、感覚的な雰囲気で包み込まれる方が、従いやすい気持ちになるのかなと、
コロナ禍の様子を見ていても、そう感じます。

後半は元寇の話ですが、元軍を撃退しても領土が増えるわけではなく、
奮戦した武士たちには褒章が与えられなかったため、武士に不満が募り
鎌倉幕府崩壊につながった・・・・・この解説は教科書でもそう学びました。

しかし、与えたくても与えるものがなかったと理解していたのですが、
そもそも朝廷側に武士への労いの気持ちがなかったというのは知りませんでした。
自分たちが神仏に祈ったから撃退できたというように朝廷が判断していたのであれば
これはもう、北条一族にはどうしようもない事態ですよね。

で、そこで不満を募らせた武士たちが、武士の力で世界をひっくり返そうとするのかと思いきや、
やっぱり天皇一族の力を担ごうとするわけで、不思議ですよねー日本人って。
大きな枠組みを変えるほどの革命児が登場せず、あくまで世界観の大枠は維持しながら
その中でうまく調整して収めようとする、それを全ての人がそれで良いと思っているという
この構造は、他の国にはなさそうですよね。
だからこそ、一つの王朝として世界最長という記録を現在も伸ばし続けてるのだとは思いますが。
(井沢史観では途切れてるという整理ですが、それでも世界最長ですよね)

さてさて、ここまで一気読みしてきた本シリーズは、
100円で見つけられたのはこの6巻までなので、ここで一旦終了です。
第7巻が100円で見つけられたら、また再開予定です。




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