『学校では教えてくれない日本史の授業 天皇論』
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- 2021/08/09(Mon) -
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井沢元彦 『学校では教えてくれない日本史の授業 天皇論』(PHP文庫)、読了。
今まで読んできた井沢作品の中で一番面白かったです。 「あ、日本の歴史って、こういう軸で読み解くと、きちんと2000年前から現在まで筋が通って見えるんだ!」 という気づきがありました。 日本の特殊な社会構造というか、日本人の精神構造について、 「忍耐力がある」「助け合う」「礼儀正しい」「温厚」「自己主張しない」というような部分は、 実感としては持てていますが、「なぜこんな社会が成立してるの?」というのは 実はあんまり腑に落ちていないところがありました。 特に、現在、東京オリンピックが開催されている状況下で、各国のアスリートやマスコミ記者が 「日本人のホスピタリティが素晴らしい」「他国の選手も分け隔てなく応援するのは特殊な民族だ」 というような日本人論がいろんな角度で展開されていて、 「なんで、こんな国民性をもった社会が、世界の中で継続出来ているんだろう?」という疑問が 自分の中に蓄積されていっていたまさにその最中でした。 で、本作を読んで、「穢れ」「怨霊」という原始的な発想が、 どの時代においても思想の核というか、もうどうにも身に染みて逃れることのできない 本質的な畏怖が国民全体の底流に存在しているため、 封建社会になったり、立憲社会になったり、民主社会になったり、 社会の制度は先に進んでいるように見えて、却ってプリミティブな恐れが思考の内側に どんどん澱みのように蓄積されていっているのではないかと感じました。 だから、内面と制度のギャップを埋めるために、なんとか制度を無理やりいじって 日本人の畏怖感に合わせられるようにしているので、 外から見てユニークというか、変な社会に見えてしまうのでしょうね。 わたくし、大学受験は日本史で受けたのですが、他の教科に比べて 全く自信がない状態でした。過去問とかで、「荘園制度の成り立ちについて説明せよ」 みたいなものが出てくると、「あー、もー、無理、捨てよ」ってな感じでした。 ところが、本作で「荘園制度は脱税の仕組み」とズバッと解説されると、 「あ、そういうことなのか!!」とすんなり納得できました。 なんで急に荘園制度なんてものが全国に広まったのかわからなかったのですが、 そりゃ脱税できるならみんな活用しますよね(苦笑)。 本作は、「天皇論」となっていますが、私の受け止めとしては、 本作は「日本人論」であり「日本社会論」です。 その日本社会のまさしく象徴となる存在が天皇なんだなというのが、 戦後だけではなく、昔からそうだったんっだということも理解できました。 この流れをもしGHQが理解したうえで「象徴天皇制」を導入させたのだとしたら 恐るべしアメリカ合衆国・・・・ですね。 本作はシリーズになっているようですし、 『逆説の日本史』シリーズも積読になっているので、早く読まないと!! ![]()
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