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『京都嵐電殺人事件』
- 2021/07/23(Fri) -
西村京太郎 『京都嵐電殺人事件』(カッパノベルス)、読了。

引き続き、十津川警部消化シリーズ。

舞台は京都の京福電鉄。
嵐電会のメンバーが、雑誌社のバックアップでイベントツアーを催行。
嵐電沿線の寺社や名所3か所で写真を撮りながら終点駅までのタイムトライアルを競うもの。
その賞金、なんと500万円。

雑誌社がバックについているとはいえ、そもそもメンバーが7人しかいない嵐電会の中のイベントで
賞金500万円って、すごい違和感。
私がメンバーだったら、逆に怖いわ。裏がありそうで(苦笑)。

で、その通り裏があって参加した夫婦2人が殺害されます。
そのうち、東京でも殺人事件があり、この嵐電会のメンバーに申し込んだものの
審査で落とされた女性が亡くなります。
この2つの殺人事件の謎解きとなりますが、
まずは、嵐電を使ったイベントが舞台のため、沿線の寺社がたくさん登場し
また嵐電そのものも鉄道マニアを呼べる魅力があるということで、
嵐電自体の紹介や、その嵐電マニアをあてにした駅周辺の飲食店などの描写もあり
京都という観光地のひとつの経済圏の姿が見えて面白かったです。

2つの殺人事件のつながりは、あぁ、過去のそういうことが契機なのね・・・・・と
それはそれで受け止められましたが、過去の自殺事件については
「そんなことで即行自殺しちゃうのかな?」とやや疑問。
いずれにしても、遺された側は辛いですよね。

京都府警と警視庁の合同捜査というか、
そこまで組織的な印象はなく、
現場を仕切る刑事たちが個々にうまく連携していて捜査しましたという展開で、
リアルな警察機構の姿を描いて縄張り意識バチバチみたいな作品も面白いけど、
こうやって素直に協力し合う作品も、気持ちよく読めるわね~と再認識。

最後、京都の事件と東京の事件の間をどう移動するか、
鉄道ダイヤを使ったトリックが出てきそうな雰囲気だったのに
雰囲気倒れで終わってしまい、雑な捜査で結論を出させてしまったので、
その無理やり終わらせた感は残念でした。

携帯で時刻表を簡単に検索できるようになった現在では、
時刻表を使ったトリックの作品はもう書けないのでしょうね。




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