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『この町の人』
- 2021/06/27(Sun) -
平岩弓枝 『この町の人』(集英社文庫)、読了。

質屋の女主人を中心に、彼女の家に出入りする親族や客や近所の人々の日常を
素直に切り取った連作短編集。

まず、この女主人が気持ちいいんです。
質屋を一人で仕切っているぐらいだから、お金に対する姿勢は厳しいものを持っていますが、
その反面、人間としては愛情豊かで、情にもろいようなところもあり、
とても愛すべきキャラクターでした。

そして、その質屋の2階に転がり込んでくるのは、ご近所さんだった同年輩の男。
下町らしく子供のころから知り合いの気の置けない仲です。
男の方は一人娘が嫁いだばかり。
男の金で取手市に新居を構え、そこに同居する予定だったのに
いざ一緒に住んでみたら気を遣う毎日に嫌気がさして、住み慣れた街に戻ってきてしまったとの理由。

私は結婚したことがないので、あくまで想像ですが、
結婚して、それまで赤の他人だった人物と同居するのって、気を遣うだろうなと。
もっと本音ベースで言えば、しんどいだろうなと(苦笑)。

しかも、本人はまだ隠居するような年齢でもないということで、ビルの夜警の仕事につきます。
でも、この選択は、娘からしたら、「せめて昼間の仕事にしてよ」と思っちゃうのも分かります。
夜勤は体がしんどそうですし、何もそんな肉体労働をしなくても・・・・という感覚もあります。

このあたりの、それぞれの立場での、自分の都合やら相手への思いやりやら、
いろんな思いが交錯するのですが、それが細やかに、でもすっきりとしたタッチで描かれており
とても面白い作品でした。

そんなに大きな出来事が起こるわけではないのですが、
人間の生活って、毎日こんな感じで過ぎていくよね~と、しっくりくる作品でした。

平岩作品はこれで3作目でしたが、前に読んだ作品も面白かったので、
これからはしっかり意識して追いかけていきたいと思います。




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