『日本社会の歴史』
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- 2021/05/25(Tue) -
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網野善彦 『日本社会の歴史』(岩波新書)、通読。
この3巻が、著者の代表的な著作なのかなと思って、期待して読んだのですが、 期待していたよりも教科書的な雰囲気の本だなと感じてしまいました。 前に読んだ網野作品が、庶民の生活のロジックみたいなものをしっかりと描いており、 納得感が得られたし、歴史の本であまり注目したことがない場面への考察だったので とても面白く読めました。 本作にもそういう雰囲気を期待していたのですが、 原始社会の日本の描写から始まり、「あら、普通の教科書と一緒なのね」と思ってしまいました。 結構、淡々と時代を順番に追いかけているように思え、 高校の日本史の教科書のように、政治の話があったと思えば、宗教の話に飛び、美術の話に飛び・・・・ というようなあっちこっちに話が飛ぶことはなかったのですが、 政治や生活の話に特化して、時間の流れはしっかり意識されているものの、 淡々と描写が進むというところは教科書的なトーンのように思えました。 もっと、手に汗握る生き生きとした描写を期待しちゃってました。(ハードル上げすぎ?) で、本作の主題とは話がずれるのですが、 なんで日本史の話って、原始の時代から始めるんですかね? 本作でも、200万年前の話からスタートするのですが、 日本列島は当時、中国大陸と陸続きでしたよ・・・・・ってもう、 日本史ではなく地学の世界ですよね。 こういう話から始めるから、「日本の歴史を学べるんだ!」と思っていた子供たちが 「思ってた話と違う・・・・」というので、興味を失ってしまうのではないかと思ってしまいます。 日本史の授業が卑弥呼の話から始まったら、その神秘的なキャラクターと相まって もっと子供たちは日本史に興味を持つように思うのですが。 金印の話とか、めちゃくちゃ物語性もありますし。 どうせ授業で教えるなら、子供たちが興味を持つような「掴み」を 教科書会社も、学校の先生も、もっと工夫した方が日本社会のためになるのにな・・・・。 ![]()
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