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『カエルの楽園』
- 2021/04/07(Wed) -
百田尚樹 『カエルの楽園』(新潮文庫)、読了。

前々から読みたかった本作、ブックオフで続編とセットで見つけたので即買い&即読み。

いやー、一気読みでした。

憲法9条で戦争は回避できる!と信じ込もうとする日本人と、
隣の大国・中国、日本周辺の情勢を遠くから監視している米国などを
カエルの国の寓話で表現しています。

寓話化することで、問題の本質をものすごくシンプルに描いています。
この削ぎ落し方が見事です。
全く無駄なく、今の日本の憲法9条をめぐる問題点を抉り出しています。

カエルの国の「三戒」をめぐる混乱に的を絞って、
無理にほかの要素を詰め込まなかったのが凄いなと。
百田さんなら、いろいろ言いたいことはあったはずなのに、
他はすべて抑え込んで、「三戒」だけに絞る決断が凄いなと。

こうやってシンプルに日本の状況を描いてもらって、
私の中で一番の疑問だったのは、「デイブレイクって何でこんなことをしてるのかな?」という動機の部分。

たとえば、高齢の元老たちが「三戒」にしがみついたのは保身と思考停止だと思いますし、
ハンニバル三兄弟は能力を持っているのに行使できないのはルールに従うという判断でしょうし、
スチームボートがカエルの国を去ったのは居てもメリットがないと判断したからだと思います。

みんな、それぞれの立場があるので、その判断が、仮におかしなものだったとしても
理解はできるという感じです。
でも、デイブレイクだけは、なんで毎朝毎夕、カエルたちの危機感を鈍らせるような情報を流し、
はたまた危機感を訴えるカエルの口を封じようと、他のカエルたちを扇動しようとするのか、
その目的が分かりませんでした。

決して、百田氏の寓話化がうまくいっていないという批判ではなく、
そもそものモデルとなっている新聞社の目的が
私には理解できないんだということが、よく分かったということです。

私は、世の中の構造とか仕組みとかを知ることが大好きで、
人間社会の仕組み、経済の仕組み、自然の仕組みなど、いろんな本を読んだり
講義を聞いたり、動画を見たり、ということを重ねてきましたが
この新聞社が社会の中で果たそうとしている役割、その仕組みが理解できていません。

うーん、もっと読書を続ければ、いつか理解できるのでしょうか。
それとも、永遠の謎となってしまうのでしょうか。
最近は、動画でいろいろ保守派がこの新聞について発言するようになっているので
読んだり聞いたりする機会は格段に増えましたが、理解の糸口は見つからないままです。




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