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『龍神の雨』
- 2021/04/06(Tue) -
道尾秀介 『龍神の雨』(新潮文庫)、読了。

大藪春彦賞受賞作品ということですが、
あんまり意識したことがなかったので、受賞作が自分の好みに合うのかどうか
イメージがわかなかったのですが、検索してみたら受賞作も候補作もそれなりに読んでました(笑)。

ハードボイルド小説・冒険小説に与えられるということなのですが、
本作を読んでみて、うーん、その定義に合っているのかしら?とやや疑問。
というか、他の受賞作を見ても、ピンとこないです。
硬派な感じの作品というぐらいの緩やかな括りのような気がします。

親の再婚により血の繋がらない他人が「家族」として家庭の中に入ってきた後で、
血の繋がった親が亡くなり、継母・継父と兄弟だけが残されてしまった特異な家族が2つ。
その2つの家族が、万引き事件をきっかけに接点を持ち、
そして、殺人事件に巻き込まれていく・・・・・・。

この子供たちの目から見た、継母・継父への嫌悪感とちょっと配慮をする感覚が
見事に描かれていて、「あぁ、知らない人が突然家族として家の中に入り込んでくるのって
こんな感覚なんだなぁ・・・・」と、4人の視点から見える景色に納得しました。

一方で、ミステリとしては、物足りない感じでした。
殺人事件が起き、それをいかに隠ぺいするかという視点で物語が進んでいきますが、
淡々と進んでいくような印象を受けてしまい、あまり興味が持てませんでした。
隠ぺいしようと兄妹は必死に頭を回転させますが、ちょっと理屈っぽいかなと。
人間、窮地に陥ったときに、こんなにいろいろ考えられるだろうかと。

事件の展開にドキドキしたのは、むしろ万引きシーンの方。
店員側の視点も含めて、どういう展開になるのか、発覚後の駆け引きにおける心理戦も含め
面白かったです。

個人的には、圭太の視点が、一番、人間として安心できる心情の持ち主だったので
圭太目線で本作を読んでました。

最後のシーン、小学生ながらこんな場面に居合わせてしまった彼の不幸を思い、
その後の人生において、少しでもトラウマにならなければと祈りたくなりました。




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