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『出版禁止』
- 2021/01/30(Sat) -
長江俊和 『出版禁止』(新潮文庫)、読了。

著者名もタイトルも全く知らなかったのですが、
ブックオフの50円ワゴンで見つけたので買ってみました。

著者の手元に、雑誌への掲載が中止になったルポルタージュが届く。
社会の闇を暴くドキュメンタリー作家は、有名女優を妻に持ちながら、不倫相手と心中事件を起こす。
生き残った不倫相手に、事件の真相をインタビューしたルポだったが、
その後、衝撃的な事件が起き、雑誌への掲載は急遽中止に。

劇中劇のような感じで、ルポルタージュの文章を読むことができますが、
そもそもの心中事件がなんだか不気味。
「心中」という行為の意味を、私自身が理解できていないからかもしれませんが、
本作においては、なぜ、この映像作家と不倫相手の秘書が心中しなければならなかったのか
そこがルポルタージュを読んでいてもモヤモヤしており、
ルポを書いた取材者自身が、「これは殺人ではないか」と疑っていることで、
そのモヤモヤ感が増していく上手い演出になっていると思いました。

さらには、「事件から7年間も沈黙していた不倫相手が、なぜ今になって取材を受ける気になったんだろう?」
という点についても、殺人事件疑惑に輪をかけるようになっており、
いったい真相は何なのか知りたくて一気読みでした。

雑誌に掲載する体裁になっているのは前半までで、
後半は取材ノートとして日記状態の体裁です。
この形式の変化も、だんだん真相というか深淵に近づいていく感じがして
不気味さを感じます。

この日記形式になってから、取材者の行動が「え!?こんな判断するの?」という展開が増えてきて
ストーリー展開に疑問符が付くことが増えてきました。
「取材者って、こんな人物だたっけ?」という不信感ですが、
その後、雑誌掲載を禁止となった経緯が分かったときに、この疑問符の真相も理解できました。

正直、私の好みの展開ではなかったですが、
上手いなぁというテクニックを楽しむ作品でしょうかね。

人間って、やっぱり気持ち悪い。




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