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『九州大宰府殺人事件』
- 2021/01/27(Wed) -
木谷恭介 『九州大宰府殺人事件』(実業之日本社)、読了。

いただきものの本。
お初の作家さんです。

銀座のクラブに勤めるホステスの女性が主人公。
馴染みのお客さんが役員をしている建設会社が倒産し、
その後、クラブへのツケを支払いに来た直後に福岡で遺体となって発見される。
犯人を見つけ出すために、ホステスと警察庁の捜査官がタッグを組んで調査する。

どうやら、この警察庁の捜査官が軸になっているシリーズ物のようです。
シリーズ何作目かはわかりませんが、銀座のクラブ関連での事件を既に解決した実績が
あるような前提で話が進んでいきます。
この捜査官が、クラブのママが話すようには本作ではヒーローっぽくなく、
シリーズの中で立ち位置がいろいろ変化しているんでしょうかね?
でも、前作を読んでいなくても問題ない作りになっています。

謎解きが中心というよりは、私は経済モノとして読みました。
いかにも児玉誉士夫や許永中を彷彿とさせる男たちが登場してきて、
倒産した建設会社を巡って大きなお金が動いています。

本作のストーリー自体は許永中らとは関係のない完全な創作の世界だと思いますが、
こういう「フィクサー」と呼ばれる人たちが暗躍する世界の雰囲気は
結構うまく伝わってくる作品なんじゃないかなと思いました。

そして、その世界における銀座のクラブが果たす役割というのも分かって
興味深かったです。
ただの水商売なのではなく、世の中を動かす一翼を担っているのが
他の場所のクラブとは異なる「銀座のクラブ」の特殊性なのかなと思いました。

殺人事件自体の真相にたどり着いたときに感じたのは、
やっぱり本作は経済モノであって、殺人事件自身も、経済モノに奥行きを出すための
ツールだったなということでした。




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