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『だれでも書ける最高の読書感想文』
- 2021/01/22(Fri) -
齊藤孝 『だれでも書ける最高の読書感想文』(角川文庫)、読了。

子どもの頃、基本的に学校の勉強は得意な方で、
宿題とかも苦にならず、夏休みの宿題なんぞ「7月中に全部終わらせて、8月は自由研究に集中!」
というようなタイプでした。

しかし、唯一不得意だったのが「読書感想文」。
なぜ不得意なのかという自分なりの分析もできていて、
「どういう風に感想文を構成していくと良い評価が得られるのか戦術がわからない」ということでした。

小学校の6年間、毎日、日記を書くという宿題があり、たぶん風邪などで休んだとき以外は
1日も欠かさずに書いたと思うのですが、日記を書くのは苦ではありませんでした。
むしろ、学校内での表彰で「入選」とか「佳作」とかもらっていたので、
良いテーマが見つかって、筆がのった時は、「選ばれる文章を書くぞ!」と気合が入った記憶があります。
日記は、「こういう風に書くと先生の評価が高い」というツボを、自分なりに攻略できていた気がします。

ところが、読書感想文は、基本的に年に1回か2回程度しか宿題にならず、
経験値が少ないので、「こう書けば先生に評価される」というポイントが見えていませんでした。
さらに、日記は学期ごとに表彰があり、表彰作品は文集みたいになって配られていたので
他の生徒の「特選」とか「入選」とかの日記を読んで、「あぁ面白い文章だな」
「なるほど、こう書くと起承転結のメリハリが出るんだな」というようなテクニック論を
周囲や先輩から学び取れた(盗み取れた?)ので、自分なりの攻略法を編み出せました。

ところが、読書感想文は、提出した後、誰が読んでどういう評価をしているのか
何もフィードバックがないし、日記の文集のように他の人の文章を読む機会もなかったので
ずーっと苦手でした。
「感想っていったい何なんだよ!?」ぐらいに思ってました。

ところが、中学校2年生の時だったと思うのですが、
当時の国語の担任が、自分の趣味で結構とっぴな授業をする人で、
ある時、数週間の国語の時間をつぶして、「教科書のこの文章に対する自分なりの考察を
書けるだけ書きなさい、内容よりも分量が多いことを評価します」というような変な授業をしました。
最初の何時間かは、その教科書の文章を黙読し、自分なりの考えをまとめ、
そして、さらに何時間かの国語の時間で、400字詰めの原稿用紙に延々と自分なりの考察を書くという
ものすごく静かで孤独な、しかし濃密な授業時間でした。

そのとき、読書感想文が苦手だった私は、なぜか「自分なりの考察」というキーワードに触発され、
原稿用紙32枚に渡る文章を書いて、「一番長い文章を書いた」と先生に褒めてもらいました。
凄く嬉しかった思い出です。

テーマだった教科書の文章が一体何だったのかは全く記憶にないのですが、
確か小説で、私は、登場人物の心の推移とか、関係性の変化とか、そういう主題からはじめて、
さらには、日本語文章としてのテクニックで気になったところや、疑問に思たっところなど
とにかく気づいたところを全て羅列しました。

「読書感想文」で、何を書いていいのかいつも困惑してたのに、なんでこの課題には
こんなに熱心に取り組めたのだろう?と思うと、たぶん「考察」という大人なワードに惹かれたことと、
「読書感想文」というパターン化された宿題ではなかったので、ほんとうに「何を書いてもいい」と思えて
素直に思ったことを書き連ねることができたためかと思います。

結構、この課題のおかげで、「あ、自分は、長い文章を書くことができるんだ」
「『考察』って言われると、いろんな角度から物事を考えることができるんだ」と気づくことができ、
その後の、小論文試験とか大学の卒論作成が苦にならなくなるきっかけになった気がします。

で、本作を読んでみて、著者が、軽すぎるかな?と思われるほどのポップな言い回しで
読書感想文に立ち向かう気持ちや姿勢について書いている内容を、
私は、この中学校の時の課題を通して、勝手に自分自身で見いだすことができたんだなと納得できました。
たぶん、文章を書いていて本当に楽しいと思えたのは、この中学校の課題が頂点で、卒論が次点かな。

自分自身で「読書感想文の壁」を乗り越えられたので、
こんな読書感想Blogを毎日書くことができるようになったのかなとも思います。
まぁ、拙Blogは、文章の温度差も品質差もひどいものですが(苦笑)。

もし、「読書感想文」に悪戦苦闘していた小学生の私が本作を読んでいたら、
得意な宿題に変わっていたかな?とも想像しましたが、たぶん答えは「No」です。

この手のハウツー本を受け入れられるようになったのは30代になってからで、
昔は、テクニックを教える本は、付け焼刃だとバカにしてたので、たぶん読めなかったと思います。
そして、やっぱり、学習法は、人に教えてもらったものを真似るより、
自分で開発して身につけるのが一番ですよね。

本の内容にはそこまで深い興味はわかなかったのですが、自分自身の思い出に浸れた読書でした。




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