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『Q&A』
- 2021/01/17(Sun) -
恩田陸 『Q&A』(幻冬舎文庫)、読了。

昨日、ネットで注文していたマッサージチェアが届きました。
試運転のお供に本作を手に取ったのですが、
思いのほかマッサージが気持ちよく、立ち上がれません。
連続運転させている間に、一気読みです(苦笑)。
(マッサージチェアの連続使用って、体に悪いからダメですよね・・・・)

タイトル通りQ&A形式で、とある組織の人達が、大惨事となった事件の関係者に質問を行いう様子を
淡々と会話文のみで描写していきます。

この作品構造の時点で、「『藪の中』スタイルかも?」と、真相がわからないエンディングになる
可能性についてはある程度覚悟していました。
むしろ、論理破綻を起こさずに、様々な可能性を提示することができるのかというところに
興味がありました。

問題の大惨事とは、郊外のショッピングモールで、中にいた買い物客数千人がパニックになり
外に逃げようとする人々が押し合った結果、圧死や転落死など数十人が亡くなり、
100名以上が怪我をするという事態に。
しかし、パニックの原因になった最初のきっかけが何なのか、事故から数カ月たっても
未だに解明されないという不思議な状況です。

前半、Q&Aは、とある組織が関係者に質問するという体裁になっており、
事件の真相以外にも「この組織は何なんだろう?」というサブの謎もあって、
ワクワクしながら読む手を止められませんでした。

しかし、中盤から、この組織が登場しなくなり、「あれれ?何だったの?」と肩透かし。
後半は、ただの2人の会話として進んでいくので、ちょっと中だるみしましたが、
終盤になって、遺族中心に結成された宗教団体の話がメインになてくるにつれて、
「あ、前半の組織は公安的な組織で、成長しすぎた宗教団体の監視的調査をしてるのかも」と
思うようになりました。ま、あくまで私の想像ですけど。

組織の方の真相は、明確な答えがないにしても、私なりの想像ができたので
そこは満足できたのですが、事件の真相の方は、ちょっと不満でした。
ナイフの老夫婦、液体を撒いた男、血の付いたぬいぐるみを持った少女、
この3つの原因かも!?と登場してきた話の扱いが、どうにもアンバランスで、
他の2つが放置されたまま少女の話に収斂していくのが、私の好みではありませんでした。

そして、最後の章で、まさにその少女のQ&Aになりますが、
正直、私には、この章は不要だったと感じられました。
一気につまらない作品になってしまったなと。
大惨事の謎について空想を広げていた話が、一気に人間臭い話に矮小化されてしまった印象です。

前半と終盤が面白かっただけに、この結末は残念でした。




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