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『世田谷一家殺人事件』
- 2021/01/15(Fri) -
一橋文哉 『世田谷一家殺人事件』(角川文庫)、読了。

タイトルの事件は、八王子スーパーナンペイ事件と並んで、
未解決事件として有名ですよね。
ただ、事件発生時に私は大学生で、正直、あんまりこの手の事件に興味を持てなかったので、
一家4人が殺されたのは可哀そうだけど、なぜここまで何年たっても話題になるのかな・・・・と
疑問に思ってました。

スーパーの方は、「スーパー+拳銃+女子高校生」という組み合わせが衝撃的で、
こちらは世間が驚愕する理由はなんとなく納得できてました。

で、本作を見つけたので、読んでみました。
先日の年末で事件から20年だったんですね。

まず、事件そのものの発生状況が、一言で言ってしまうと気持ち悪い。
4人の殺害方法について、殺害するということ以外の目的(痛めつけるとか破壊するとか)が
見えてくるので純粋に怖いです。

そして、一家4人が全員亡くなっているので、この家庭の生活習慣を把握するのに手間取り、
家族の生活の痕跡なのか、犯人の犯行の痕跡なのかを見極めるのが大変だったという事実。
隣に実の姉と母親が住んでいても分からないものなのか、
人間の存在というのはそんなにも曖昧なものなのかと、
自分自身の存在の不確実性を思って怖くなりました。

著者は、独自の情報提供者をたどって犯人と思われる人物に迫っていきますが、
正直に思ったのは、「なんで著者はこんなに簡単に犯人と思える人に出会えるんだろう?」という疑問。
この事件だけを執念深く追っているのならともかく、著作リストを見ていると、
それなりに同時並行でいくつかの事件を追いかけているのではないかという気がしています。
なのに、犯人に出会えて、しかも話ができて、さらに事件の真相に迫る攻防をできてしまうことに
うーん、どこまでが調査の結果で、どこからが創作が入ってるんだろう?と感じてしまいました。
前に読んだ本でも、真犯人と目される人に突撃してますしね

途中から、事件の真相を知るというよりは、事件の真相をイメージした小説を読んでいるんだと
割り切ったら、読みものとして興味深く読めました。

韓国社会、軍人社会、宗教法人社会、様々な特殊な世界の文化が複雑に絡んでおり、
パズルのピースがはまっていく感覚があるので、「真相はこうなのかも!」と思えてきます。
動機についてもそれなりに腑に落ちるものが提起されていたので、
私は、本作に描かれたような社会に関係する人が犯人のような気がするけど、
本作で仮名によって描かれている人が本当に存在するのか、
それがそれぞれ1人の人間なのか、複数の人間の要素をまとめて描いたものなのか、
そこまでは判断できませんでした。

韓国に関わる宗教法人ということで、本作中には明言されていませんが、
ネットで検索すると、ずばっと書かれており、信仰の状況なども嘘かほんとか分かりませんが
いろいろ書かれていました。
どの書き込みも、元ネタは本作のように思ったので、
本作が単独で唱えている説なのか、他のジャーナリストでもそう言っている人がいるのか
そこまでは分かりませんでした。

いずれにしても、当時、捜査に関わった警察官の方々にとっては、
こんな本を出されてしまうのは忸怩たる思いでしょうね。




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