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『家族の標本』
- 2021/01/14(Thu) -
柳美里 『家族の標本』(角川文庫)、読了。

著者の周囲にある様々な家族の姿を短い文章で描き出したエッセイ集という裏表紙の紹介でしたが、
私は、エッセイではなく小説として読みました。

それぐらい、濃密な家族の姿が描かれていて、
短い文章なので無駄を削った文章なのですが、
行間に人間のいやーな部分があふれ出ているようで、怖さを感じるぐらいでした。

で、人間って怖いな・・・・と思いながら前半を読んでいたのですが、
途中で気づいたのは、「著者の周りにはどんだけ重たい家族がたくさんいるんだ」ということ。
そして次に思ったのは、「どの家族も重たいものを抱えているとしたら、その闇のようなものを
周囲にいる人たちから引き出している著者の引力ってすごいな」というものでした。

ルポライターではないので、取材でそういう家族を探し当てているのではなく、
あくまで周囲の知人・友人・仕事仲間とのつきあいや会話の端々から
家族の闇を聞き出したり察知したりしているのだと思います。
その引き出し力がすごいなと。
もしくは闇を引き付ける負の力なのでしょうか。

私が最初に感じたように、小説としての創作の部分も多分に入っているのかもしれませんが、
こういう1組1組の家族の積み重ねが日本なんだなと、今の自分の立ち位置とは
違う視点で社会を眺めるきっかけになりました。




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