日明恩 『ギフト』(双葉文庫)、読了。
キムタクのドラマでこんなタイトルの作品合ったよな~ということで、
頭の中で勝手に主人公がキムタクの顔で動いていたのですが、
全く関係のない作品のようです(苦笑)。
元警察官の主人公は、捜査の途中で少年に声を掛けたら逃げられ、
追いかけたことで少年が道路に飛び出し事故死させるという過去を持った男。
今は警察官を辞め、レンタルビデオ屋で夜のバイトをして静かに暮らす日々。
そこに毎晩やってきては棚陰で涙を流す少年は、死者が見えてしまう異能者だった・・・・。
あんまり上手くない要約ですみません。
正直、最初は文章が読みにくくて、内容が頭に入ってきませんでした。
すごくキャラクターや設定を作り込んでいるというか、作り込んでいるということを知らしめようとする
肩の凝った文章で、ちょっと自分本位な感じがしました。
1つ1つのエピソードは練られていて面白いと思ったのですが、
ストーリーテリングの仕方が私にはマイナスに感じられてしまいました。
あと、設定の軸の部分で、少年は死者が見えるという点に加えて、
途中から急に、何か隠そうとする嘘も見抜けるというような点が出てきて、
この軸をぶらす感じは受け入れられませんでした。ご都合主義に感じてしまいます。
死者というキーワード一本で語って欲しかったなと思いました。
細かいところも気になってしまい、
20年近く前にもらってきた土を山積みにして放置してあるという場所に手を突っ込み、
簡単に土の中から宝箱を探し出してきましたが、20年も風雨に晒されたら
カチカチに固まってるだろうに・・・・・と。
少年の目の前に現れる死者は、1つの死者のエピソードが終わるまで
行儀よく並んで待ってるのかしら・・・・と思うような登場の仕方ですし、
一般人にも何かのきっかけで死者の姿が見られるようになったりと、
ご都合主義が気になりました。
詰めの甘さが気になる作品でした。
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