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『悪魔のような女』
- 2020/12/15(Tue) -
赤川次郎 『悪魔のような女』(角川文庫)、読了。

お手軽読書に短編集を。

冒頭の「暴力教室」は、進学校の中学校で起きた陰湿ないじめ事件がテーマ。
俗にいう「葬式ごっこ事件」は昭和60年、本作は昭和57年の発行のため、
時代を先取りした作品だったのかも・・・・と思います。

先生をもいじめの被害者として巻き込むことで、リアリティを抑制するというか
エンタメ性を高めるというか、そういう処理を施してありますが、
昭和終盤の学校における歪んだ空気をよく伝えている作品なのかなと思います。
私は生まれたばかりの頃なので、あくまで想像ですが。

「召使」は、ある日突然、安アパートの一室に召使を名乗る男がやってきて、
無償で家事一般を全て引き受けてくれるという夢のような物語。
設定がなんだか星新一っぽいなと思いながら楽しく読んでいましたが、
途中で殺人事件が起こり、赤川作品に変質したような印象でした。

召使がやってきた当初は、夫婦ともに丁寧な言葉遣いで配慮しながらものを頼んでいたのに、
すぐに横柄な上から目線の口調になってしまうところに、人間の悲しさを見ました。

「野菊の如き君なりき」は、どの登場人物の行動も、あんまりぴんと来ない話でした。

「悪魔のような女」も、登場人物たちの行動がちくはぐな印象受けました。
まぁ、このような短編に、あんまりリアリティを求めてもいけないのかもしれませんが。

とりあえず、時間つぶしには適したお気楽本というところでしょうか。




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