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『きみはなぜ働くか。』
- 2020/11/21(Sat) -
渡邊美樹 『きみはなぜ働くか。』(日経ビジネス人文庫)、読了。

国会議員を辞めてから何してるんだろう?と思ったら、
再び和民のCEOに戻ってるんですね。
今は、外食チェーン、特に居酒屋業態は大変な時期だと思いますが、
経営者としての手腕再び・・・・なんですかね。

新入社員の過労自殺により、ブラック企業のレッテルを貼られましたが、
和民から看板の付け替えを進めているおかげか
コロナ前まではグループ全体としては持ち直してきてたみたいですね。
やっぱり底力があります。

で、本作ですが、社長である著者が、ワタミグループで働く人に
こうあってほしいと要求している具体的な職務姿勢を述べている本です。

2ページ読み切りで1つのトピックスなので、
最初は感覚的なメッセージが多いなぁ・・・・と、ちょっとつかみどころがない印象だったのですが、
しばらく読んでいくと、「お客様第一で行動しろ」「お客様の言うことはすべて正しい」
「できないと言うな」「とにかく常に精いっぱい働け」というようなメッセージが様々な表現で
繰り返し述べられており、段々とその世界観に引きずり込まれていくようなところがあります。

和民というお店は、単なる居酒屋チェーンだと思っていて、そんなに特別な印象はなかったのですが
結構、ディズニーランドみたいな洗脳系の職場だったのかなと本作で思い至りました。
だから、新卒入社2か月で過労自殺に追い込まれちゃうのかなと。

私自身、仕事優先で一日の生活を組んでしまうタイプですし、
労働時間とか気にせずに、やれることはトコトンやりたいと思ってしまう方ですが、
それって、本人がそう思って行動しているならともかく、
組織に属する人間全員に要求するのは無茶ですよね。
でも、著者は、そう要求していることを、本作の中でも「お客様のために」というような
さわりの良い表現で結構ストレートに書いていて、「おいおい大丈夫か」と
心配になってしまいます。

佐川急便のセールスドライバーで短期集中で資金を作り、
そこから居酒屋を立ち上げて一気に拡大していくというその信念と行動力は
超一流の人物だと思います。
信念の共有は大事だと思いますが、行動力の要求レベルが異常なので、
普通の従業員にそれを求めるのは酷だなと。

社長自ら、お客様の苦情の声にきちんと目を通していることは
素晴らしいことだと思いますし、それに対して現場にちゃんと指示をしていることも
さすが行動力のある経営者だと思います。
店舗をお客様の目線で見て回っているのもさすがです。
あとは、自分が行動力という点において特異な能力を持っているということを
自覚されるだけで、ブラックさはかなり解消できるのではないかと思ってしまいました。




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