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『蚊がいる』
- 2020/10/18(Sun) -
穂村弘 『蚊がいる』(角川文庫)、読了。

私の中での穂村江エッセイの」評価は「どうでも良いことを深刻に考える人」なのですが、
本作もそういう系統のエッセイでした。
タイトルと表紙絵の様子から、お気楽エッセイかなと思ったのですが、
意外と硬派な内容のものもあって、興味深く読みました。

日常生活において著者が引っ掛かりを覚えるポイントって、
私自身、意識したことがないような些細なことでありながら、
でも真面目に考えると意外と深みにはまっていくような面白いところがあります。

「パッチワーク紳士」などは、自分の行動でも思い当たる節があり、
明らかに自分が優位に立てるときだけ他人に必要以上に優しいふるまいをしてしまう自分が居ます。
他のときにはとても冷たく振舞うことがあるので、
自分自身の中で、優しさと冷たさのアンバランスさが整理できないことがあります。
でも「パッチワーク紳士」というフレーズを目にして、「あぁ、不連続なんだ」と納得でき
なんだか安心もできてしまいました。自分が特段不整合なわけじゃないんだなと。

私は、自分の「パッチワーク紳士」さを、著者が指摘したから気づいたわけで、
自分の中にある「パッチワーク紳士」ぶりを自覚して認識し、
さらに「パッチワーク紳士」と定義づける著者の観察力というか洞察力というか考察力というか
そういうところが、やはり研ぎ澄まされた表現の世界に生きている人だからなんだろうなと
納得できました。

こんな風に、日々の生活で、いろんなことが引っかかる人って、
毎日が結構しんどいのではないだろうかと心配になってしまいますが、
だからこそ、「どうでも良いことを深刻に考える人」に見えてしまうんだろうなと再認識。




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